2016 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質1分子の力学応答計測と 収縮環の再構成による細胞分裂機構の 階層的理解
Project/Area Number |
16KT0077
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮崎 牧人 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (40609236)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞分裂 / 収縮環 / アクトミオシン / 細胞骨格 / 分子モーター |
Outline of Annual Research Achievements |
動物細胞は細胞分裂時に収縮環と呼ばれるリング状のアクトミオシンバンドルを形成し、その収縮力によって細胞はくびれて分裂する。我々は収縮環の形成・収縮メカニズムを解明するために、精製したアクトミオシンとアクチン繊維の束化因子を細胞サイズの油中液滴に封入し、in vitroで収縮環様の構造の自己組織化と収縮に成功した(Nature Cell Biology 2015)。本研究課題ではこの再構成システムと1分子力学計測システムを用いて、収縮環動態の階層的理解を目標とする。初年度は実際の動物細胞で収縮環のアクチン繊維重合を制御しているフォルミンと呼ばれるタンパク質の1分子力学応答計測を行った。プロフィリン共在下ではフォルミンによるアクチン伸長速度が外力に強く依存することを明らかにし、さらに条件によっては、アクチン繊維の脱重合反応が、数pNの外力で重合反応に切り替わることを発見した(論文1編投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光ピンセットを用いて、フォルミンによるアクチン繊維の重合反応に外力を加えることができる実験系を開発し、当初の計画通り、フォルミン1分子の力学応答計測を行うことができた。さらにプロフィリン濃度依存性やATPアクチンとATPアクチンの違いなどを定量化することができ、論文としてまとめることができたため(1編投稿中)、この課題は予定よりも順調に進んでいる。一方で、当初は初年度に予定していたアニリンの生化学実験は計画より遅れてしまっているため、全体の進捗状況としてはやや遅れ気味であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは初年度で予定していたアニリンの生化学実験を進める。続いて、我々が構築した収縮環のin vitro再構成システム(Nature Cell Biology 2015)を用いて、収縮環形成・収縮に必須と考えらえられている6種類のタンパク質(アクチン、ミオシン、アニリン、フォルミン、プロフィリン、コフィリン)それぞれの機能を明らかにする。また、初年度で開発した光ピンセットによる1分子力学応答計測システムを用いて、アニリン1分子の力学応答計測を行う。
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Causes of Carryover |
当初は初年度にアニリンの生化学実験を行う予定であった。しかし、初年度はフォルミンの1分子力学応答計測の方で予想以上の成果が得られたため、そちらの研究の方に注力した。従ってアニリンの生化学実験に必要な備品や消耗品の支出分が翌年度に繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越分の経費は、主に初年度予定していたアニリンの生化学実験を行うための備品及び消耗品の購入費に充てる。
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Research Products
(9 results)