2018 Fiscal Year Annual Research Report
人工遺伝子回路を用いた細胞パターン形成機構の構成的理解
Project/Area Number |
16KT0080
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戎家 美紀 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, ユニットリーダー (00544933)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | パターン形成 / 反応拡散 / Nodal-Lefty |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、反応拡散機構で哺乳類培養細胞上に空間パターンを作ることを目指して、Nodal-Leftyシグナルの反応拡散系を単純化した人工遺伝子回路をHEK293細胞上に作製した。この人工遺伝子回路は、Nodal(アクチベーター)、Lefty(インヒビター)、Co-receptor、下流の転写因子、ルシフェラーゼレポーター、という5つの遺伝子部品から成っており、いわゆるアクチベーター・インヒビター型の反応拡散回路になっている。この人工遺伝子回路を組み込んだ細胞では、レポーター陽性ドメインと陰性ドメインから成るパターンが自発的に形成され、維持される様子が観察できた。そこでこのパターン形成の機構を調べるため、NodalとLeftyの細胞外分布を測定したところ、Nodalの細胞外分布は、Leftyにくらべて3分の1程度と非常に狭いことがわかった。これは、Nodalタンパク質内のFinger1と呼ばれるドメインのせいだとわかった。実際、NodalのFinger1ドメインをLeftyに移植すると、Leftyの分布が狭くなり、パターン形成も阻害された。さらに、実測・推定した生化学パラメーターを用いて数理モデルを構築し、パターン形成の条件を考察した。以上の結果は、世界初の哺乳類細胞における人工反応拡散パターンの作成例と言え、これらの成果は2018年12月にNature Communications誌上で発表した(Sekine et al, Nat Commun, 9, 5456, 2018)。
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