2017 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロクロマチン由来RNAがもたらす複雑系攪乱による発癌機構解明と病態検出法開発
Project/Area Number |
16KT0109
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90518945)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 愼 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40415956)
伊地知 秀明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70463841)
|
Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
|
Keywords | 癌化 / 反復配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症に続発する癌(炎症性発癌)の病態として「炎症性ストレスによる慢性的な『miRNA機能阻害』が原因の一端である」ことを明らかにし、miRNA機能を増強する薬剤によって炎症性発癌の予防が可能になることを同定してきた。いっぽう、炎症性発癌ではなく、もうひとつの主要な発癌経路であるsporadicな発癌については癌遺伝子・癌抑制遺伝子の変異に伴う多段階発癌が主要な発癌経路であると推定されているが、なぜそれらの遺伝子変異が最終的に雑多な遺伝子異常を伴う細胞癌化に結びつくのかは、いまだ明確になっていない。「エピゲノム修飾-ゲノムDNA-非コードRNA-蛋白機能修飾-DNA damage・染色体異常」といった「非コードRNA発現を主体にしたDNA-RNA-蛋白-細胞機能といった多階層にわたる複雑系の機能攪乱によって生じる発癌ポテンシャル獲得の分子機構」を明らかにしたうえで、これを「臓器組織に関わらず病態として普遍的な発癌性獲得機構のひとつであること」をin vivo・in vitroでの検討で証明する。 本年度はin vivoでの反復配列RNAの機能を トランスジェニックで確認した。in vitroでの結果と同様、YBX1の機能を阻害しDNA damageが蓄積することを確認した。k-Rasの恒常的活性化マウスとの交配により、前癌病態であるPanINが早期から発現しその数も増えることを確認した。これらの結果を論文にまとめ投稿中である。これらの結果は癌化過程における反復配列DNAから発現する反復配列RNAがYBX1蛋白の機能を阻害するという多層階の変化をきたしていることを示す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反復配列RNAのトランスジェニックマウスを作製しその機能を解析した。 In vitro での解析結果を in vivo でも確認することが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ここまでに見られた反復配列RNAによるDNA障害の機構に介入する方法を開発し発癌過程をブロックする方法を見いだすことと、反復配列RNAの発現機構を解明して 癌化の予防法を開発することを主眼とする。
|
Research Products
(3 results)