2017 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群の単一因子に依らない病態解明と予防法の基礎的検証
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16KT0113
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
指田 吾郎 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特別招聘教授 (70349447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 啓隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60379849)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / DNAメチル化 / ヒストン修飾 / エピゲノム / ストレス / 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化とは、感染など様々なストレスによる臓器・個体レベルの生体内ネットワークの恒常性破綻であり、臓器機能低下やがんなどの疾患発症を促進する。ただし、複雑な生物学的応答のもとで、がん発症に至る分子基盤は明白でない。高齢者に好発する骨髄異形成症候群(MDS)は造血幹細胞より発生するクローン性造血器腫瘍であり、造血不全と急性白血病への病態進展を生じる治療困難で生命予後不良ながんである。加齢の生物学的意義について、近年の老化モデル生物研究によって、テロメア・酸化ストレス・感染・栄養・代謝など様々な細胞内因性・外因性のシグナル伝達と生体内ネットワークの恒常性破綻が、加齢に伴う疾患発生や病態進展に関与することが広く認識されている。申請者は、こうした複雑系疾病論に基づいた組織・個体レベルでの単一因子のみに依らないゲノム・エピゲノム・蛋白質・代謝物の変異蓄積によるMDS発症過程の分子基盤の統合的な理解を目的とした。この目的を果たす一つの方策として、申請者は、老化に伴うがんであるMDSの発症機構を理解するために、高齢者のMDS発症過程を模して感染ストレスを負荷したTET2変異マウスモデルを新たに作製した。外的ストレスによって惹起されたエピゲノム変化が記憶・継承されて、造血機能障害を来すとともに、クローナル造血からMDS発症に至る分子基盤を解明する。さらに、エピゲノム変化が進展して機能障害が生じたMDS幹細胞を対象として、エピゲノム状態を初期化する基礎的な試みを実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの解析結果に基づいて、申請者は、老化に伴うがん発症機構を理解するために、MDS発症過程を模して感染ストレスを負荷したMDSマウスモデルを新たに作製した。感染ストレスによって惹起されたエピゲノム変化が記憶・継承されて、造血機能障害を来すとともに、TET2変異を生じたクローナル造血からMDS発症に至る分子基盤を検証している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、外的ストレスによって惹起されたエピゲノム変化が記憶・継承されて、造血機能障害を来すとともに、クローナル造血からMDS発症に至る分子基盤を網羅的なエピゲノム解析によって解明する。さらに、エピゲノム変化が進展して機能障害が生じたMDS幹細胞を対象として、エピゲノム状態を初期化する基礎的な試みを実施する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Impact of combinatorial dysfunctions of Tet2 and Ezh2 on the epigenome in the pathogenesis of myelodysplastic syndrome.2017
Author(s)
Hasegawa N, Oshima M, Sashida G, Matsui H, Koide S, Saraya A, Wang C, Muto T, Takane K, Kaneda A, Shimoda K, Nakaseko C, Yokote K, Iwama A.
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Journal Title
Leukemia
Volume: 31
Pages: 861-871
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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