2018 Fiscal Year Research-status Report
新規レポーターシステムを用いて解き明かす炎症性疾患の発症と寛解のメカニズム
Project/Area Number |
16KT0114
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
関谷 高史 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 免疫応答修飾研究室長 (80519207)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | 免疫学 / 制御性T細胞 / in vivoレポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、活性化免疫細胞のin vivo生体解析およびex vivoの細胞解析の両方を可能とする新規レポーターシステムを構築し、炎症性疾患の発症から寛解に至る過程における免疫応答のダイナミズムを明らかとすることを目的としたものである。 現在までの研究実績の概要:本研究で開発を進めてきた新規レポーターシステムは、免疫担当細胞全般で活性化初期に一過性の発現を示す「Nr4a1」の遺伝子座にルシフェラーゼ、GFP、タンパク不安定化ドメインをタンデムにつなぎ合わせた新規レポーター分子(Luc2-AcGFP-ds2)を挿入したBACクローンのトランスジェニックレポーターマウスである。28,29年度の研究により、「免疫応答をin vivo, ex vivoの両方で経時的に捉えるレポーターマウス」の作製に、世界に先駆けて成功した。30年度は、このレポーターマウスを用いた実験に着手し、現在までの研究で、自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の初期過程で、腰部から脊髄に沿って免疫応答の活性化が生じる現象を捉えた。特に、EAE発症の初期段階では第5腰椎(L5)に病原性T細胞が集積することが明らかとされているが、本レポーターマウスでもEAEの発症にさきがけ、L5から特異的に、免疫細胞の活性化を示すルシフェラーゼ発光が検出されている。従って本レポーターマウスは免疫応答の活性化部位を正確に示すことが確認された。 現在、引き続きEAEにおける免疫応答活性化の場の推移と病態の変化を照らし合わせた解析を進めており、疾患の発症と寛解のメカニズムを分子・組織学的レベルで解明することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一番の難題であった新規レポーターマウスの開発に成功し、本マウスを用いた解析は順調に進められている。従って、研究はほぼ計画通り進行していると判断できるが、論文投稿及び学会発表に関し、十分に裏付けの取れたデータの取得は今年度中には間に合わず、補助期間延長の申請をするに至ったため、本研究の進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Nr4a1新規レポーターマウスを用いたEAEの解析により、「研究実績の概要」の項で記述したとおり、EAEの発症にさきがけ、既報であるL5腰椎における強い免疫反応を捉えている。さらに、L5腰椎にさきがけて活性化する免疫応答の場、もしくはその後の病態の進行および寛解過程で特異的に免疫応答の活性化を示す場を捉えており、本年度の研究では、それらの結果をた追加実験、再現実験を実施し、十分に裏付けの取れたデータを基に論文投稿及び学会発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
論文投稿及び学会発表に関し、十分に裏付けの取れたデータの取得は今年度中には間に合わず、補助期間延長の申請を行うに至った。生じた次年度使用額の内訳は、前年度に予定していた受託解析費用、論文作成・投稿費用(校閲費、掲載費)、学会参加費(旅費込み)を含む。本年度に、受託解析を含めた追加実験、再現実験を実施し、十分に裏付けの取れたデータを基に論文投稿及び学会発表を行う。
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[Journal Article] miR-181a/b-1 controls thymic selection of Treg cells and tunes their suppressive capacity2019
Author(s)
Lyszkiewicz M, Winter SJ, Witzlau K, Fohse L, Brownlie R, Puchalka J, Verheyden NA, Kunze-Schumacher H, Imelmann E, Blume J, Raha S, Sekiya T, Yoshimura A, Frueh JT, Ullrich E, Huehn J, Weiss S, Gutierrez MG, Prinz I, Zamoyska R, Zietara N,Krueger A.
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Journal Title
PLoS Biology
Volume: 17
Pages: e2006716
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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