2018 Fiscal Year Research-status Report
原発事故被災地域に生きる高齢者の尊厳と「終の住処」のあり方に関する研究
Project/Area Number |
16KT0122
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
小正 裕佳子 獨協医科大学, 医学部, 特任講師 (60733269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 真三 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (50321849)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢者 / 終の住処 / 原発事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力災害による被災者への最も大きな影響として、放射性物質による長期の汚染が予測される地域への居住制限が挙げられる。特に帰還困難区域、居住制限区 域の高齢者を中心に、心身のストレスによる苦悩や体調悪化(難聴、認知症等)が報告されており、本研究では、こうした高齢者が今後の人生を再構築していく かに必要なエビデンスを構築することを目指している。 方法としては、初めに、原発事故被災高齢者が希望と尊厳のある暮らしを取り戻すことができるよう、質的手法により(1)終の住処として安住できる環境に必要な条件、(2)条件が達成される見込みと時期、(3)現在に至るまでの健康状態、について網羅し系統的に分類すること、を目標としている。 平成28年度は、対象者の選定が適切かどうかの検討を行うのに時間を要し、同意を得られた人に対して予備的に聞き取りなどを行った。また、背景情報として 必要な文献の収集などを同時並行で実施した。 平成29年度は、対象となる65歳以上の高齢者のうちの一部で、避難指示が解除された地域に帰還した人への質的調査を開始した。その中で、現在に至るまで の健康状態については、震災・原発事故発生後に、これまでにかかったことがなかったような病気になったと回答した人が複数みられ、その他にも様々な自覚症状があった。平成30年度も同様に、質的調査を継続した。一方、避難指示区域の再編や住宅の整備、家族の事情などにより対象となる高齢者が転居しているケースも多いことから、追跡可能な対象者を再度設定して調査を順次行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
避難指示区域の解除や復興公営住宅の整備等に伴い、高齢者が順次転居していることや、避難者支援を行っている団体の体制変化等により、確実に調査を実施して回答を得られる人数に達しなかったため、全体のスケジュールがやや遅れている。 量的調査の実施が可能かどうかについては現在検討しているが、仮に難しい場合には質的調査の範囲を広げるなどして研究目的の遂行を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し、対象となる高齢者の生活状況の変化について考慮した包括的な検討ができることを目指している。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、全体の調査計画に遅れが出たため期間を延長して使用することを決定した。 次年度は、引き続き調査実施を実施するため、主に福島県内への研究従事者の旅費、調査票印刷及び発送等のための費用、依頼した研究参加者への交通費(必要な場合)等として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)