2017 Fiscal Year Research-status Report
非管理職シニア人材の持続的エンプロイアビリティ向上に向けた理論的・実証的研究
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16KT0124
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 規彦 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (40387569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 有希 学習院大学, 国際社会科学部, 准教授 (00468828)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | 後期キャリア開発 / 持続的エンプロイアビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、今後一層の増加が予想される「非管理職」シニア従業員の「持続的エンプロイアビリティ」(心身共に健康に働き続ける仕事機会の獲得能力)向上のメカニズム解明にむけた理論的・実証的検討を行うことを目的としている。具体的には、①非管理職シニア従業員の持続的エンプロイアビリティの個人・職場・組織レベルにおける促進・阻害要因の検証、②60~65歳前後における個人のエンプロイアビリティ水準の観察とその変化に与える影響要因の検証、③持続的エンプロイアビリティの向上が個人・職場・組織にもたらす効果の検証、及び④統合的フレームワークの構築を行う。 上記目標を達成するために、平成29年度は以下の研究活動を行った。 ①研究Iの実施(2年目):持続的エンプロイアビリティの先行要因の特定化を目的とする定量的調査(個人・企業を対象)を実施した。 ②研究IIの実施(2年目):高齢者の定年年齢前後での認知的なエンプロイアビリティの変化を把握するための時系列調査を実施した。 ③研究IIIの実施(1年目):研究IIIは、持続的エンプロイアビリティが組織・職場・個人の諸結果指標にいかなる影響を与えるかを検討するプロジェクトであり、平成29年度から開始した。事前準備として、エンプロイアビリティと結果変数及びその関係を調整する個人のキャリア・ステージに関わる文献レビューを行った。また、この結果を踏まえ、仮説構築、質問紙設計、個人向け質問紙調査の実施を行った。 ④論文化と成果発表:成果の一部は、国内・海外の学会で報告されたとともに、英語で論文化され海外ジャーナルに投稿された。具体的には、パリ第9大学(ドフィーヌ校)で開催された組織行動分野で権威ある国際ワークショップ等にて成果発表が行われた。また、成果の一部は、現在複数の海外ジャーナルにて査読審査中であり、今後の結果を期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した4点の研究計画について、特に遅滞することなく実施することができたためである。具体的には、①研究Iの実施(2年目)、②研究IIの実施(2年目)、③研究IIIの実施(1年目)、及び③論文化と成果発表のそれぞれである。 研究開始後、研究代表者、分担者、協力者からなる研究チーム内での積極的な研究貢献があったこと、またチーム内での円滑なコミュニケーションがとれていたこと、データ収集におけるキーパーソンと緊密な連携がとれていたことなどが主な理由として挙げられる。他には、研究代表者・分担者それぞれの研究機関において電子ジャーナルやデータベースなどが充実していたこともあり、それらのアクセスがタイムリーにできたこともを貢献している。また、研究計画自体も無理のない計画が立てられていたことも大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度にあたるため、既に収集されつつある複数のデータセットに対して、効率的に解析を行い、質の高い研究成果を発信していくことが求められる。ただし、解析はベースとなる理論やフレームワークに基づく、理論的貢献度の高いファインディングスを創出するプロセスである必要がある。その点で、解析と同時に、抽象度の高い理論的文献の精読にも時間を割く必要があるだろう。理論と解析のバランスを、チーム内でいかにバランスをとって研究活動を進められるかが重要なポイントになると考えている。 いずれにしても、最終的な目標は、本課題を通じて執筆する論文を海外の主要ジャーナルに掲載させることであり、そのためにもまずは質の高い研究論文を執筆することが不可欠である。
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Causes of Carryover |
今年度実施した調査において、当初予想していたほどの費用がかからなかった。これは、研究代表者の人的ネットワークにより、在住する首都圏近辺にて、調査が実施できたことによることが大きい。同時にこの節約により、当初想定していたよりもより規模の大きい定量調査を次年度実施できる可能性が見えてきた。また、次年度は複雑なデータ解析を実行可能なワークステーションの導入を検討していると同時に、成果発表に伴う費用も当初の想定より増大する可能性が高い。したがって、上記節約は、次年度以降の本研究の研究規模の拡大や実質的なインパクトの増大につながるという点で、重要な意味をもつものといえる。
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