2017 Fiscal Year Research-status Report
情報空間の幾何学理論の統一的構成と形態情報科学の構築
Project/Area Number |
16KT0132
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松添 博 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90315177)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高津 飛鳥 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (90623554)
|
Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
|
Keywords | 情報幾何学 / Wasserstein幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,統計科学における幾何学的手法論の統一的な基礎理論を構築するとともに,情報空間における抽象的な「図形」に関する数理解析手法の構築を行うことである. 研究開始当初は,再生核理論やカレントなどを用いた図形の特徴づけの研究などを想定していた.しかしながら関連研究において,統計モデルにおける期待値の階層構造という概念が発表された.画像処理などから図形の特徴を抽出する場合,期待値は重要な概念であるが,これが不変なものではなく,統計モデルや統計量に依存して階層的に表れるとという内容である.これは研究開始当初には想定していなかった結果であり,図形の特徴量などに大きな影響を与える.そのため,平成29年度は昨年度に引き続き,期待値の階層構造という視点から幾何学の考察を行った.その結果,期待値の階層構造から統計モデルの空間に,自然な多様体構造やダイバージェンス関数を構成できた. また,図形の直感的な特徴量と,統計解析における図形の特徴量は異なることも予想される.そこで,深層学習機械が捉えることができる特徴量はどのようなものであるかということを,線形代数の視点から解析するなどの予備的な考察も行った.ある種の深層学習機械が自然にWasserstein幾何学の構造を持つことも知られており,また,近年は画像処理において深層学習機械は多用されていることからも,深層学習機械そのものの幾何学的性質の解明は,今後も検討が必要な研究内容である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
確率変数の期待値が階層的に定義されるという考え方は,本研究において非常に重要であると考えている.関連研究課題において,具体的な画像データ処理に形式的に情報幾何学を応用し,統計モデルを構築したという研究成果が得られているが,これは期待値の階層構造から統計モデルに定めた統計多様体構造であるということが解明されつつある. また,図形の位相的な情報に対する数理解析手法の構成,深層学習機械の持つ幾何学的性質の解明など,情報幾何学以外の図形に関連した数理解析手法についても予備考察を進めるとともに,関連研究分野の情報収集などを進めている.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の開始段階では,エントロピー汎関数,または一般化したMathieu汎関数が時間や温度に依存する場合や,汎関数が定義されないが勾配写像は定義される場合のWasserstein幾何学や情報幾何学の考察なども研究目標としていた.期待値の階層構造という概念が導入されたため,平成29年度はこの方面の研究を中心に行っていたが,エントロピー汎関数に関する問題自体も重要性を増していると考えている.期待値の階層構造と,そこから構成される幾何学構造の画像処理への応用などの研究に加え,研究開始当初の問題であるエントロピー汎関数の系列などについても議論をする.また,情報幾何学と Wasserstein幾何学の関連についても,引き続き解明を目指す.
|
Causes of Carryover |
申請当初にはなかった国際会議が次年度に開催されることになった.この国際会議への渡航費と参加費を捻出するため,予算を次年度に繰り越した. 複数の国際会議への参加旅費として,未使用額の大半を使用する予定である.
|
Research Products
(6 results)