2017 Fiscal Year Research-status Report
生命科学におけるネットワーク結合力学系の大域的構造解明のための位相的計算理論
Project/Area Number |
16KT0138
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
岡 宏枝 (國府宏枝) 龍谷大学, 理工学部, 教授 (20215221)
|
Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
|
Keywords | 力学系 / 制御ネットワーク / モース分解 / Conley index / 時系列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の実績は以下のとおりである:1)生命科学でよく扱われる生体分子の制御ネットワーク結合系を区分線形な常微分方程式系とそれの連続系への摂動系として捉え、その性質を抽出したswitching systemとして数学的に定式化した。前年度では、2次元の場合に限っていたが、一般次元で定式化する方法について確立し、まず、きつい条件の元で、位相的計算理論を用いて、大域的構造を求める理論を構築し、それを摂動した一般のベクトル場についてもモース分解が存続することを示した。現在、この条件を弱めた場合について、議論を進めており、論文はきつい条件の元ではほぼ完成している。(T. Gedeon, H.Kokubu, k.Mischaikowらとの共同研究。) 2)gene regulartory networkなどの複雑なネットワーク・ダイナミクスの時系列データから、大域的構造を復元するための理論の構築と計算を行った。これは、Fiedler,Mochidukiらの研究におけるregulatory networkのFeedback vertex set の考え方を時系列データに対して拡張したものであり、この考えかたは、アトラクタのみでなく力学系の大域的構造を再現するもので、Takensの力学系の時系列解析を発展させたものである。この結果については、University of Aukland, AMS conference ,MCA2017で講演した。論文は執筆中である。 3) 離散力学系とそのサスペンションとして得られる連続力学系のConley indexの関係をMrozekのConley index over the circle という観点から考察した。この結果は、2018日本数学会年会で講演した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の主任業務後の仕事と今年度カリキュラム改革等の仕事量が多く、研究に時間がとれなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要にある論文(switching systemの一般次元)を完成させる。switching system に関しては、7月にMontana state universityに行き、K.Mischakow氏、T.Gedeon氏、H.Kokubu氏と議論する予定である。また、C. Shih, H.Kokubuらと結合振動子系のsynchronizationの問題を考え、完成させる。
|
Causes of Carryover |
(理由)前年度の主任業務後の仕事と今年度カリキュラム改革等の仕事量が多く、研究に時間がとれなかった。また、パーシステント・ダイアグラムやdistance matirxの計算を主に実行していたMiro Kramerが2017年4月に東北大AIMRから、パリのINRIAに異動の影響が今年度にも影響した。switching system については、ほぼ完成しているが、共同研究者の意向により、より難しい場合も含めて論文にすることになり、論文完成は本年度中にできなかった。 (使用計画) 今年度は、研究会に参加するための国外・国内出張旅費とコンピュータ購入に使用予定である。
|