2016 Fiscal Year Research-status Report
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16KT0144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮沢 佳恵 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40370613)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | エディブルスクールヤード / 菜園教育 / パーマカルチャー / ニホンミツバチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、消費者意識が変わる新たな食育手法の確立である。 持続的な食の循環システムの再構築のためには、その循環システムに大きく関わる消費者の主体的で意識的な選択が必要である。消費者が実際に行動を継続して行っていくための原動力は、その行動自体の良し悪しではなく、その行動自体が喜びとなり、幸福感をもたらすことであるという仮説のもとに、本研究では、そのような幸福度が増加する原体験を得られる場として、小中学校の食育現場を新たにデザインすることを念頭に置いた試験及び調査研究を行う。 本年度は研究計画の基づき、1.国内外のモデル校におけるフィールドワーク、2.パーマカルチャーデザインのコンセプトを用いた食育の場の改良、についてそれぞれ調査及び試験研究を行った。1のモデル校のフィールドワークとして、エディブルスクールヤード(全世界に広がっている菜園活動と調理を各教科との学びにつなげているプログラム)を開発し、現在その教育プログラムの普及も行なっているアメリカのマーティン・ルーサー・キング・ジュニア中学校、及びそのプログラムを取り入れている近隣の公立の小中学校、及び教育委員会でのインタビューと参与観察を行なった。また、国内のモデル校として、エディブルスクールヤードのプログラムを日本で始めて取り入れた愛和小学校にて、通年のプログラムへの参加と参与観察、アンケート調査を行なった。2のパーマカルチャーのコンセプトを用いた改良とは、デザインや情報を生かして、ソフトとハードの両面において要素間を有機的につなぐデザインにより、食農教育のネックとなっている労力、費用、エネルギーの投入量を低減することを目的としている。今年度は、管理作業で多くの時間を使う除草、及びエネルギーを使う耕起の手間を軽減する手法、及び日本の在来種であるニホンミツバチの簡易的な飼育方法について技術開発を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りモデル校でのフィールド調査を進めていること、及び食育教育で利用できる様々な技術開発(菜園における雑草の取り扱いの問題と、雨による土壌硬度の増加の対応策の開発、及びニホンミツバチの飼育において、コロニーを撹乱せずに蜂蜜を任意の量だけ抽出する手法など)が進んでいることから、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のモデル校での調査により、特に公立の小中学校においては、生徒や教育者がプログラムに満足しており継続を望んでいても、資金と労力の確保が最大の問題となっていることが明らかになった。したがって、パーマカルチャーの手法を用いた労力低減について継続して技術開発を行うとともに、参与観察、現場での対話、及び継続的なアンケート調査によってその解決策や経過についても丁寧に調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
外国旅費について、アメリカでの調査の際、先方の都合により科研費で支出できる日程以前の旅程となってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
パーマカルチャーのコンセプトに基づいた技術開発のために国内の技術者や農家や養蜂家を調査する機会が想定よりも増えたため、国内旅費として使用予定。
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