2016 Fiscal Year Research-status Report
システム育種学:麦類の品種育成情報の統合と育種目標発掘のための理論基盤構築
Project/Area Number |
16KT0148
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
最相 大輔 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (90325126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 浩臣 福岡県農林業総合試験場, 農産部, チーム長 (30502413)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝育種学 / 麦類 / 育成系譜 / グラフ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,育種学の新たな理論的枠組みの創出を目的に,従来の品種育成情報の統合と新たな育種目標発掘のための理論基盤構築に取り組む.本研究では,大部分(~90%)を輸入に依存し食糧安全保障上の観点から食糧自給率の向上に向けて土地利用型作物として推奨されている麦類(オオムギ,コムギ)を研究対象とする.研究は以下の3つのステップに分けて3ヵ年で実施する. ①品種育成系譜およびその形質データの収集と統合 ②グラフ理論に基づく育成系譜ネットワークの描出とその数学的特徴付け ③現代育種の問題発見と新たな育種目標の発掘 平成28年度はビール麦を中心に品種育成系譜情報および品種比較試験データの収集とデータ入力に取り組んだ.各育成地域に情報提供を依頼した結果,1,300余りの育成系譜を収集した.合わせて,系統および品種比較試験の形質データを収集している.特に福岡県農林業総合試験場からは50年にわたる品種比較試験データを取得した.一方,食糧用オオムギならびにコムギについても情報収集を進めている. 収集した系譜および形質データはその多くが紙媒体による保存データであったことから,順次デジタルデータ化を進めている.ビール麦の系譜および形質データについては概ね入力作業が完了した.食糧用オオムギならびにコムギについても,順次データ入力を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
順調に国内麦類品種育成者から情報が提供されたため,入力作業に時間を要している.本研究では育成系譜情報をグラフ理論の枠組みで取り扱うことを計画しているが,特にビール麦育種の現場では半数体育種や中間世代(~F5世代の非固定系統)を用いたケースが散見され,数学的な取扱についての検討と並行しながら育成系譜情報のデータ化を進めているため.
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Strategy for Future Research Activity |
1,300余りの系統・品種の系譜情報が収集されたビール麦について,先行して育成系譜ネットワークの構築に着手する.また育成系譜ネットワーク上での複数年にわたる形質データの表現方法について研究分担者,連携研究者と連携して,種々のアプローチで検討を加える.ビール麦については主要な現代品種および育成上中核的な品種群を約200系統程度選定し,前年度に引き続いて倉敷市で栽培実験に供試しており,生育データの取得を進めている.ゲノム多型データについては,当初計画のRNA-seqよりもさらに安価な方法として,GRAS-Di法の導入を視野に入れ検討中である.
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Causes of Carryover |
ゲノム多型データ収集に関して,研究課題開始後に当初予定のRNA-seq法より安価なGRAS-Di法の導入を検討したことにより,DNAサンプルの調整等に当初予定ほどの経費を要さなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
収集された育成系譜データおよび形質データの入力と取扱について研究分担者,連携研究者との綿密な研究打合せ等が必要となることが予想されるため,そのための研究打合せ旅費としての支出を計画している.
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