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2016 Fiscal Year Research-status Report

紛争解決のための応報と修復の共同体ガバナンス:環境保護団体とイルカ漁の事例から

Research Project

Project/Area Number 16KT0156
Research InstitutionThe University of Kitakyushu

Principal Investigator

竹川 大介  北九州市立大学, 文学部, 教授 (10285455)

Project Period (FY) 2016-07-19 – 2020-03-31
Keywords紛争解決 / 修復的正義
Outline of Annual Research Achievements

初年度はこれまでの調査で収集した関連アクターへのインタビューとインターネット上での言説分析を先行して進めた。ソロモン諸島のイルカ漁に関する国際的自然保護団体と村民のやり取りに関して、新聞記事などの文献資料やインターネット上に残されている一連の情報をもとに、大型ほ乳類を含む鯨類の保全と捕獲についての最新の動向と対応を整理した。
またイルカ漁をおこなう村民、ローカルガバメントや行政関係者、マスコミ、国際機関、環境保護団体など、ソロモン諸島のイルカ漁をめぐるさまざまな関連アクターが現状の社会的葛藤についてどのように対応しているのかを整理しまとめた。さらに紛争解決、とくに応報的正義と修復的正義のふたつの側面に関連する人類学・社会学・法学・進化心理学の研究領域について先行研究を検討した。また紛争解決や環境保護に関する基本文献の収集を進めた。
それらをもとに修復的司法と紛争解決に関する4件のシンポジウムおよび学会発表をおこなった。これらの発表では紛争/葛藤(conflict)解決における共同体ガバナンスのありかたについて、応報的正義/司法(justice)と修復的正義/司法のふたつの側面から分析をおこなった。また両者の正義と、近年の道徳性に関する進化心理学的研究で注目されている「互恵」と「共感」との関連性についてふれた。さらにこれまでのフィールドワークで得たデータを元に、村内の村人同士の関係性とグローバル社会と村落共同体との間の関係性のそれぞれの回復は、共同体のガバナンスのもとでどのように実現され、その後、当事者たちをめぐる社会関係は、どのような経過をたどるのかについて論じた。
こうした機会に関連する研究者へ連携を呼びかけた。メラネシア地域に限らず、世界各地の紛争事例をあつかっている人類学者や地域研究者とコンタクトをとり事例検討会を開催し本特設分野研究の獲得者との協働を進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

紛争解決に関する学会発表や研究会を複数回おこない領域の研究者との研究交流を進めた。インターネットを通じて現地のデータを収集しイルカ漁に関する現状の把握を進めた。当初予定していた計画はおおむね実施された。

Strategy for Future Research Activity

冬期休暇を利用して、イルカ漁をめぐる紛争の経緯と、紛争解決に向けた社会的な取り組みに関する現地での聞き取りを研究協力者と分担して進める。海外フィールドワークの初年度はソロモン諸島国での予備調査をおこなう。とくに主要調査地であるF村での研究拠点作りが課題となる。さらに、ソロモン諸島国政府および現地のローカルガバメントに対する今後の調査の趣旨説明と協力の要請、これまでの経緯を確認するための村民からの聞き取りなどを予定している。
2010年に始まった環境団体とイルカ漁をおこなう村との間の紛争は、2012年に禁漁の契約が終了したことにより、当事者間の関係性の修復という新しいフェイズに移行しつつある。村内での会議や、国内世論、環境保護団体による国際的な動向などを時系列に追いながら、共同体レベルでどのように紛争を解決しているのか実地データを収集し、これまでの経緯の概略を示した年表を作成する。
研究期間を通して紛争解決、とくに応報的正義と修復的正義のふたつの側面に関連する人類学・社会学・法学・進化心理学の研究領域について先行研究をまとめ、文献レビューを作製する。
学会や研究会などの機会を通じて、調査で得られたデータを元に共同研究をおこなう。また法や倫理の専門家とも連携し、修復的司法に関する研究会を実施する。

Causes of Carryover

当初の計画では海外調査のための旅費を確保していたが、内定時期が遅れ夏期の調査を2年度以降に移動させたため謝金や旅費などの執行分が残額となった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

2年度以降におこなう予定の海外調査にあてる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 「共同体ガバナンスにおける和解戦略-イルカ漁に対する国際的圧力と地域社会」2016

    • Author(s)
      竹川 大介
    • Organizer
      京都人類学研究会11月シンポジウム
    • Place of Presentation
      京都大学人文科学研究所・第4セミナー室(京都府京都市)
    • Year and Date
      2016-11-19
    • Invited
  • [Presentation] 互恵と共感-私たちの道徳基盤のふたつの柱 Reciprocity and Empathy. Two Pillars of Our Morality2016

    • Author(s)
      竹川 大介
    • Organizer
      アジア未来会議2016 分科会コメンテータ
    • Place of Presentation
      北九州市立大学(福岡県北九州市)
    • Year and Date
      2016-10-01

URL: 

Published: 2018-01-16  

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