2017 Fiscal Year Research-status Report
紛争解決のための応報と修復の共同体ガバナンス:環境保護団体とイルカ漁の事例から
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16KT0156
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
竹川 大介 北九州市立大学, 文学部, 教授 (10285455)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | 紛争解決 / 修復的正義 |
Outline of Annual Research Achievements |
冬期休暇の2月6日から2月22日までを利用して、イルカ漁をめぐる紛争の経緯と、紛争解決に向けた社会的な取り組みに関する現地での聞き取りをおこなった。ソロモン諸島とバヌアツ共和国のフィールドをまわり本調査に向けての予備調査をすすめた。とくに主要調査地であるF村での研究拠点作りを済ませ、ソロモン諸島国およびバヌアツ共和国の政府と現地のローカルガバメントに対する調査の趣旨説明と協力の要請、これまでの経緯の確認をおこなった。 2010年に始まった環境団体とイルカ漁をおこなう村との間の紛争は、2012年に禁漁の契約が終了したことにより、当事者間の関係性の修復という新しいフェイズに移行しつつある。しかし環境保護団体とのつながりはきれておらず、2017年には新しい展開が起きていた。1年目にあつめた文献を元に紛争解決、とくに応報的正義と修復的正義のふたつの側面に関連する人類学・社会学・法学・進化心理学の研究領域について先行研究をまとめ、研究協力者とともにレビューを作成した。 研究協力者である大津留香織(PD)がバヌアツの紛争解決に関する博士論文を執筆し、同じく研究協力者である門馬一平(博士後期課程)がパプアニューギニアでの調査を開始した。 日本オセアニア学会第35回研究大会 アフリカ学会・オセアニア学会合同シンポジウムにおいてアフリカ研究者とともに研究発表をおこなった。『紛争と共存をめぐるローカルな対処―オセアニアとアフリカの事例から』パネリスト「島嶼共同体における和解のためのガバナンス―人類の普遍的道徳基盤の視点から」竹川大介 2018/3/23 海洋博公園 これらの成果をもとに研究協力者とともに本調査に入り、紛争とその経緯に関するさらに詳細なデータを収集する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した計画はおおむね達成され、研究は順調に進んでいる。成果報告としてのオセアニア学会とアフリカ学会の合同シンポジウムも開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
夏期休暇と冬期休暇を利用して、研究協力者とともにソロモン・バヌアツ・パプアニューギニアの事例調査を行う。それぞれの調査地域では、すでに現地のローカル・ガバメントとの調整が完了しており、長期調査の準備は整っている。 主要な調査地であるF村のイルカ漁に関する紛争では、昨年度ふたたび環境保護団体のメンバーが村を訪れ新しい動きが始まっている、今後も継続的な調査を行い、村民たちの意識の変化や人間関係について追跡する。 また、8月には日本の捕鯨の中心地のひとつである太地町にて講演と社会調査をおこない海外の事情と日本の事情を比較する。
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Research Products
(1 results)