2016 Fiscal Year Research-status Report
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16KT0162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 洋平 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60608785)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | ハロゲン結合 / 有機触媒 / 遷移状態 / ルイス酸 / 計算化学 / Diels-Alder反応 / 官能基選性 / 不斉認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、“ハロゲン結合”が触媒反応の遷移状態においてどのように関与しているかを理論計算化学・実験化学の両面から明らかにすることを目的としている。また、合理的な遷移状態制御に基づいてハロゲン結合が基質の選択的認識・活性化の駆動力となる官能基および立体選択的な有機触媒反応を実現することを目指している。 今年度は、将来的に触媒として活用することを目指して、ルイス酸性のより高いポリフルオロ化された新規なハロゲン結合ドナーの創成に成功した。すなわち、容易に入手可能なフッ素化合物から5段階でポリフルオロ化された電子不足な芳香族コアを有するイミダゾリウム塩の合成ルートの確立、単離、同定に成功した。また、単結晶X線構造解析にも成功し、結晶中でヨウ素と対イオン上の酸素原子がハロゲン結合を形成していることも確認できた。今後は、この電子欠乏性の高いハロゲン結合ドナーを有機ルイス酸触媒として活用し、官能基選択的な触媒反応の開発を目指す。 さらに、本研究を推進していく上で重要になるハロゲン結合ドナーの構造とハロゲン結合の強さとの関係性を理論計算化学により解明するために、Scheiner教授(ユタ州立大学)との国際共同研究に着手した。ハロゲン結合ドナー上の置換基や電子密度、ハロゲン元素の違い、対イオンの違いなどがルイス塩基とのハロゲン結合にどのような影響を与えるかをDFT計算により評価することを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Steve Scheiner教授らのグループと、ハロゲン結合ドナーの構造と相互作用の強さに関する理論共同研究に着手したばかりであり、反応の遷移状態に関する知見を得るにはいたっいない。
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Strategy for Future Research Activity |
多様なハロゲン結合ドナーを設計、合成し、理論計算との共同研究によりハロゲン結合の強さに与えるファクターを解明し、触媒設計へとフィードバックする。
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Causes of Carryover |
計画採択から共同研究開始までに予定より時間がかかり、全体的に予定していた計画から研究状況に遅れが出たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた計画から少し遅れをとっている触媒合成のために必要な試薬の購入代に充てる。
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Research Products
(3 results)