2018 Fiscal Year Research-status Report
大規模電子状態計算を基軸とした遷移状態アナログ分子設計法の技術構築
Project/Area Number |
16KT0168
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大塚 教雄 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (30465968)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | 遷移状態探索 / 大規模電子状態 / インシリコ創薬 / 反応部位予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大規模電子状態計算を用いて、創薬分野の実験技法である「遷移状態アナログ」分子による化学反応制御法に対して、理論計算による設計指針の提案とその技術化(インシリコ創薬技術化)する事を目的としている。本研究課題を通して、創薬分野の実験技法である「遷移状態アナログ」分子の設計思想を、大規模電子状態計算と遷移状態探索法を組み合わせることで、インシリコ創薬技術の開拓に向けて取り組むという実験と理論の両思想を相補的に活用し問題解決を目指すものである。具体的な手順を以下に示す:①生体分子-反応制御分子系の反応前後の構造を決定する。②その初期構造を用いて、NEB法を用いた電子状態計算から遷移状態(近傍)と反応経路を求める。③遷移状態(近傍)の構造の電子状態解析を行い、④手順③における有意なデータより理論の構築や分子設計指針を検討する。 平成30年度では、昨年度整備した量子化学計算ソフトウェアに遷移状態探索計算プログラムを結合した計算から大規模電子状態計算で用いられる計算条件の詳細な数値検証を行った。現状の大規模電子状態計算プログラムでは非自己無撞着場での計算条件が好ましいことが分かった。一方、上記手法の応用として、生体分子-反応制御分子系としてシトクロムP450-代謝化合物の系を用いて、代謝化合物の反応構造と反応部位、代謝反応経路に関して電子状態の観点から詳細を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大規模電子状態計算における計算条件に伴う精度検証が必要となり、その精度検証のため、移状態探索計算プログラムを量子化学計算ソフトウェアへ対応させる実装に時間を要した。その精度検証とともに、本手法の応用研究を実施したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、「遷移状態アナログ」分子による化学反応制御法において、遷移状態分子構造に着目した研究を進めてきた。理論計算から構造と反応部位の情報を引き出せたことから、更に分子設計に向けた方針を示したい。
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Causes of Carryover |
本研究を進めてきた上で、大規模電子状態計算プログラムにおける計算条件に伴う精度検証が必要となり、その対応として遷移状態探索計算プログラムを量子化学計算ソフトウェア上に実装に時間を要した。このため、参加を予定していた学会での発表ができなかった。次年度にて、関連分野での学会発表を行う予定である。また、本研究課題で得られている知見を活用した応用研究において、非常に興味深い結果の論文投稿を行う予定であり、その投稿費として使用する予定である。
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