2018 Fiscal Year Research-status Report
器官サイズの再生現象における痛みシステムバランスの理解
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16KT0176
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
矢野 十織 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10648091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 将仁 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10408388)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | 器官再生 / 器官形成 / ゼブラフィッシュ / 遺伝子組換え / 鰭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はゼブラフィッシュの鰭再生、すなわち鰭の損傷体積の大小に寄らずに器官が約2週間で元通りに再生する現象(Lee et al, 2005)に着目したものである。先行研究において、細胞増殖より前段階の分子機構については好中球・マクロファージの関与(Petrie et al, 2014)といった特定の生理現象で説明されたり、包括的な遺伝子・タンパク質群の関与(Rabinowitz et al, 2017)が解明されたりしている。本研究では(1)鰭再生のごく初期に起きている現象をライブイメージング解析する計画と、(2)これに関わる因子が鰭の最終形態・サイズ・構造に及ぼす影響を評価する計画の2つを柱とした。 (1)については、昨年度までに遺伝子組換え系統の樹立が完了したため、本年度はXuらの論文で報告された長時間イメージング用の麻酔循環装置(Xu et al, 2015)を設計・作製した。これにより、共焦点レーザー顕微鏡下での細胞挙動解析が可能となった。ただしカルシウムイオン濃度の動態を観察できる蛍光タンパク(GCaMP)が全身で均一に発現する遺伝子組換え系統を用いて、鰭切断前後のイメージングを行う解析については、in vivoパッチクランプ解析同様に、現在の設計でその瞬間を定量解析することは困難であった。 (2)の解析については、カルシニューリンB阻害剤(FK506)を用いた鰭再生現象において鰭の骨連結部が無形成となることを申請以前に見いだし、カルシウムイオン関連因子と鰭再生に焦点を当てた解析を立案していた。本研究の実施期間中に既にいくつかの論文でこの事実ならびに分子機構の一端は報告されたが(Daane et al, 2018; McMillan et al, 2018)、本研究方針に特段の変更は無く、本年度は最終的な結論に至るデータが取得されたために論文作成の段階に至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Rabinowitzらの包括的解析(Rabinowitz et al, 2017)と、本研究にて立案したトランスクリプトーム解析は根本的な着想が異なるため、実施期間内に予定通り実施するが、(2)の論文公表の優先が補助事業の成果・生産性を示すものであるとの判断で、当初予定していた計画通りに進捗していないという点では進捗ならびに科研費の使用が遅れていると自己評価している。ただし立案した実験順序が逆転しただけであるため、研究の進捗という意味ではおおむね順調な進展があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策、とりわけ次年度においては、論文公表を最優先に計画している。したがって昨年度までは研究代表者自らが発表者として、積極的な学会参加による成果公表を行ってきたが、次年度はここに力点を置かない予定である。研究内容については変更予定は無く、論文投稿の目途が立ち次第、引き続き遂行していく。具体的には、計画したトランスクリプトーム解析と、ライブイメージング解析に関する部分の論文等による成果公表準備である。本年度の研究グループは研究代表者1名、研究分担者1名、連携研究者1名、研究協力者5名であった。次年度は研究協力者の1名追加によってトランスクリプトーム解析の補助を依頼する予定になっている。
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Causes of Carryover |
本年度もトランスクリプトーム解析費用の使用を見送った。これは論文公表に向けた措置であり、研究遂行の計画に変更は生じていない。したがって次年度使用額として繰越しの申請を行った。したがって翌年度分として請求した助成金と合わせて、計画申請通りの使用を行う。
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Research Products
(9 results)