2019 Fiscal Year Research-status Report
器官サイズの再生現象における痛みシステムバランスの理解
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16KT0176
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
矢野 十織 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10648091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 将仁 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10408388)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2021-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 器官形成 / 器官サイズ / 鰭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、器官(鰭)サイズに影響を与える「骨形成」に着目し研究を遂行した。 (1) 鰭のサイズ制御にはヒレ骨片長・骨片数が関与することが知られていたが(Parathoner et al, 2014; Goldsmith et al, 2003; Iovine and Johnson, 2000)、本課題研究成果からは骨片数、すなわち骨と骨の連結部(joint)の形成は鰭サイズに影響を及ぼさず、これは先行研究(Schulte et al, 2011)からも類推された。そこで我々はjointの形態・分子特性を解析し、jointが鰭のサイズ制御をしたり、幹細胞供給源として機能したり(Ando et al, 2017)といった他に、四肢の指節間関節と類似した関節構造・機能があることを示し、jointを鰭節間関節と命名した(自治医科大学・大野伸彦教授との共同研究)。本成果は2020年2月の国際会議(Strategic Conference for Fish Investigators)で国外公表予定であったが、コロナウイルスの影響で中止となったため、次年度以降に公表予定である。 (2) 鰭の骨片数ではなく、鰭の骨全体長を指標として鰭サイズを評価するために、個体成長の様々な段階において骨全体長の計測を行った。個体成長と器官サイズ成長の関係はアロメトリーとして古くから研究されるものの(Huxley and Teissiser, 1937)、ゼブラフィッシュの鰭に関しては骨片数での記載であった(Goldsmith et al, 2003)。我々はこれを骨全体長で再評価し、個体成長期を2期に分ける器官成長変化点を見いだした。成長変化点前後で変化する分子シグナルの同定を現在進行中であり、これを以って課題申請段階において想起したシステムレベルでの器官サイズ制御機構の一端が明らかになると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CRISPR/Cas9法を用いたゲノム編集(1遺伝子分)は高効率で行えたために研究計画通りの進捗状況であったが、遺伝子2種欠損したゲノム編集胚の選別作業に時間を要した。したがって、研究計画で当初予定していた「ゲノム編集個体における遺伝子発現解析」については進捗がやや遅れている。 また研究成果の一部は、予定していた国際会議の中止により公表ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に1カ年の延長申請を行い、許可された。この延長期間に相同組換えを利用したノックインゼブラフィッシュの作製に着手すべく、2019年度末から準備を始めた。計画当初は成魚個体を用いた解析を予定していたが、2020年度内に完了することはできないため、予め想定していた胚での解析を予定通り遂行する。これに係る研究費は2020年度に繰り越しを行ったため、問題無く遂行可能であると考えている。
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Causes of Carryover |
申請済みの実験計画のうち、CRISPR/Cas9法を用いたゲノム編集個体の作製は達成できたが、これを遺伝子解析サンプルにする上での困難に直面し、研究遂行に遅れが生じた。したがって遺伝子解析に係る費用を2020年度(次年度)使用額として繰越し申請を行った。
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Research Products
(5 results)