2017 Fiscal Year Research-status Report
南米原産の外来植物が東南アジアに創出する新しい環境の総合的研究
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16KT0183
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小坂 康之 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | 外来植物 / 東南アジア大陸部 |
Outline of Annual Research Achievements |
人や物の移動に付随して意図せず運ばれた植物は、原産地を遠く離れた地域に定着し、世界各地で原生自然に代わる新しい環境を創り出してきた。外来植物の分布拡大の要因と影響は、個別の植物を既存の枠組みで局所的に分析するだけでは全体像を把握できないため、世界総体を単位として学際的に研究すべき「グローバル・イシュー」である。本研究の目的は、南米原産の外来植物が東南アジアに創出する新しい環境について、ミクロな生物学的分析を越えて、大陸部アジアを横断する空間的スケールで、生態、社会、文化、歴史的側面もふまえて総合的に研究し、地域に適した環境保全のあり方を考察することである。研究2年目となる2017年度には、2017年8月8日から8月17日まで、ベトナム南部メコンデルタ(カントー市、ソクチャン省、ヴィンロン省、チャビン省、ベンチェ省、ティエンザン省、ドンタップ省、アンザン省)において、船と車による移動で、外来植物の分布の広域調査を行った。メコンデルタに網の目状にはりめぐらされる大小の水路にはホテイアオイ(南米原産)が浮かび、岸辺にはMimosa pigra(中南米原産)やタテバチドメグサ(ヨーロッパ原産)が群生しているところがみられた。陸域の道路脇にはヒマワリヒヨドリ(中南米原産)やウスバスナゴショウ(中南米原産)、湿地にはキバナオモダカ(中南米原産)が生育していた。そのうちウスバスナゴショウとキバナオモダカは市場で野菜として販売され、植栽される事例も確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、おおむね順調に進展していると評価される。2017年度の研究計画は、ラオス中南部の幹線道路沿において、外来植物の分布と周囲の土地利用の履歴を調査する予定であったが、メコン川流域を広く俯瞰する目的で、ベトナム南部メコンデルタに調査地を変更し、データを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度以降は、ラオスを重点調査地としつつ、ベトナムなど周辺諸国を比較調査地の対象とし、2017年度までの調査項目の継続調査を行う。得られた情報をもとに、大陸部アジアにおける外来植物の推定移入経路を改訂し、アジア全体に敷衍して分析する。
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