2016 Fiscal Year Research-status Report
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16KT0185
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
張 南 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (20279061)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | 国際資金循環統計 / データソース / データギャップと誤差 / マトリックス / 統計体系 / 金融安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては関連の文献サーベイの後、国際資金循環統計の整備に関する諸問題を検討し、その統計作成用のデータソースを検討し、関連のデータベースを整備した。まず、SNAの海外勘定、国際収支統計、国際投資ポジション(International Investment Position, IIP)、直接統計調査(Coordinated direct Investment Survey, CDIS)、証券投資調査(Coordinated Portfolio Investment Survey, CPIS)、国際与信統計(Consolidated Banking Statistics, CBS)などの諸統計との整合性を提示する。そのうえ、国際資金循環統計を作成するためのデータソースを整備し、バランスシート・アプローチに基づき、国際金融市場における取引規模とデータ入手可能性の視点から、世界三大経済体の日米中三カ国、比較的成熟な金融市場を持つ国であるカナダ、フランス、ドイツ、イダリア、オランダ、スイス、イギリス及びアジア近隣の韓国などの12か国を調査の対象とし、国際資金循環を観察するためのマトリックスを作ることができた。 具体的には、従来の「部門×取引」という資金循環統計のマトリックスを「国家×国家」形式に組み替え、12か国から構成される国際資金循環のマトリックス(GFFM)を試作することができている。 新しく作られた国際資金循環統計は対外直接投資、国際証券投資及び国際銀行与信を含めており、金融安定性の計測のため、グローバルの視野からFrom-Whom-to-Whomというベースで、国際資金循環の動きに対する体系的解明を可能にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は申請者の長年の研究課題であり、先行文献のサーべと理論的枠繰りの作成をある程度で進んでいた。 今回の科研費申請が採用された以前にも、IMF統計部に金融統計顧問として、金融統計整備に関する技術援助とトレーニングコースを担当した経験があるので、国際資金循環統計の必要性と最先端にある問題点がある程度で分かっている。 また、IARIWとOECDによる共催の国際会議での研究報告や第60回国際統計学会での特別セッションの企画や研究報告などで国際資金循環F統計の作成と展開のための取り組みを行っていた。 関連の準備作業をしかっりやっており、関連の学会報告から得られたコメントや学内事務職員の積極的協力などを通じて、当初の研究計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発された国際資金循環統計を使って重点的に日米中の対外資金循環のマトリックスを整備し、関連の分析手法を開発し、実証分析を進めていく。具体的な方策は以下の通りである。 ① 理論研究と統計実務を結び付けるという視点からIMF統計部と日本銀行調査統計局と中国人民銀行の研究協力者に意見聴取を行う。関連データの整合性を調整した上、試作した国際資金循環のマトリックス(GFFM)の精度を高める。GFFMは、関連のデータを用いて「資産と負債」両側に区分し、主な金融投資項目毎に「部門×取引」形式のGFFMを「国家×国家」形式のGFFMに組み替える。② 金融構造の変化や2008SNA 体系改定に合わせた海外部門勘定の変更内容とFSIとの関連性と統合性の検討を想定し、12か国のGFFMと日米中を対象とするBASMとGFFMの整備と拡充に関わる課題と改善案を提示する。③ 試作された12か国を含んだGFFMを用いて、分析手法を開発し、実証分析を行う。あわせて研究成果を関連の国内学会と国際学会で報告する。 1本の英文論文をまとめて国際的学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
2016年7月から同科研費の申請が許可されたので、その以前に計画した国際学会の参加と現地調査が実現できなかった。また、博士課程の学生にデータ処理の業務をしてもらう予定であったが、本人が学位論文の作成で忙しくあまり時間が取れていなかったで、資料整理の仕事がそのまま残っていたので、翌年度で続けて完成する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年5月上海での国際会議に参加する。その後、中国人民銀行(北京)へ現地調査を通じてアドバイスの助言や資料収集などを行う。2017年11月にロシアで開催される国際学会に参加する予定。 英文校正の費用に使用する。
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Research Products
(6 results)