2017 Fiscal Year Research-status Report
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16KT0189
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
斉藤 了文 関西大学, 社会学部, 教授 (60195998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 敬介 九州大学, 工学研究院, 教授 (60191582)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | メンテナンス / 技術論 / 行為者 |
Outline of Annual Research Achievements |
「人工物を強化するための社会的制約条件」という課題に関して、私自身の方法論としては、多様な現実の実例を踏まえて、そこから考え方の枠組みを抽出することにある。そのための事例の分析は行ってきた。 そのアイディアを練るために、平成29年度は技術者の研究会を中心にして機械学会で3回、科学技術社会論学会で1回の計4回発表を行った。それぞれの発表時間が限られ、技術論と工学倫理に焦点を当て、さらにテーマも限定されているために、幾つかのポイントに関して深い知見が得られたが、全体としての枠組みの批判的評価を獲得するのは先になる。 また、この4月7日には、応用哲学会で「サステイナブルな社会に向けての技術論」という題で、人工物を強化することについて論じてきた。これは、本課題に直接関わるテーマとなる。さらに、2018年度の9月の機械学会年次大会で「人工物の強化に社会制度はどう関わるか」という題で発表し、これまでの考えについて批判を乞いたいと思っている。 さらに、著書として技術論に関わる本の推敲を進め、1年がかりで完成に近づいてきた。それの最終稿を提出しており、9月に講談社から出版の手筈となっている。全体の考えの枠組みを作ることが、本研究課題に関して、私が行うべき仕事であるから、その一部をこの著書を仕上げることをもって代えることになる。ひとつの論文や一つの実験結果では、本研究課題に応答することは難しいというのがポイントである。 なお、年に2回、関西大学でそれぞれ2人の講演者を呼び、関心を持つ研究者を集めて研究会を行っている。そこでは、活発な議論が行われ、工学という学問の理解にとって重要なインパクトを与えるものとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本は、哲学的な枠組みの提案となるが、それには多様な観点からの批判的考察が必要となる。そのために、技術者を中心とする研究会や学会、さらには哲学者や社会科学者を中心とする研究会で発表してみることが必要となる。 そのために、技術論の提案を含めて本年度は4回研究発表を行ってきた。①「法学におけるアーキテクチュア論は工学倫理にどういう影響を持つか?」機械学会 於:久留米高専2017年10月21日、②「科学技術はどのような意味でパターナリズムなのか?」科学技術社会論学会大会 2017年11月25日 於:九州大学、③「新しい技術論の提案」機械学会関西支部シニア会情報交流サロン 大阪駅前第1ビル 神戸大の凌霜クラブサロン館2017年12月22日、④「技術論のための事例分析」日本機械学会関西支部第93期第2回専門部会(第5部会)機械学会関西支部 大阪科学技術センター6階 15時~17時 2018年2月20日 このうち、②は、社会科学者や哲学者が中心の学会であり、①、③、④は、工学者、技術者が中心の研究会となっている。しかも、③、④は特に技術者として名を成した人々の会である。厳しい意見も頂きつつ、議論を重ね、思考を深めていった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本は、哲学的な枠組みの提案となるが、それには多様な観点からの批判的考察が必要となる。そのために、技術者を中心とする研究会や学会、さらには哲学者や社会科学者を中心とする研究会で発表してみることが必要となる。 平成30年度に入っても、4月に応用哲学会で発表を行った。その後、9月に機械学会の年次大会で「人工物の強化に社会制度はどう関わるか」という題で発表することが決まっている。 さらに、それ以外にも幾つかの学会で発表し、基本の枠組みを作り上げることを目指している。 技術論の観点では著書が2018年9月には刊行予定であり、それ以外にメンテナンスをテーマとした論文を書き上げる予定をしている。 私の研究は、実験結果があるわけでもないし、科学理論を作るわけでもない。その意味で、議論を公開して、アイディアの理論的展開を行い、公的な批判を仰ぐことが大きな目的となる。その方向で、研究を進めている。
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Causes of Carryover |
2月に行った研究会での経費が確定せず、消耗費などの使用を躊躇していたため、次年度使用額が生じた。 翌年は、最終年度なので、細かく経費を精査して使う予定にしている。研究会を3回開催し、学会発表を3度行う予定にしている。また、年度の最後もしくは次年度の最初ごろに、研究全体を俯瞰できる論文を発表することを予定している。
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Research Products
(4 results)