2016 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患予測マーカーとしての脳内ペリサイトイメージング
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16KT0192
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宝田 剛志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30377428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 数馬 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (30347471)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | ペリサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患の社会的関心の高さに比して、その病態メカニズムの生物学的解明はほとんど進んでいない。このため、客観的かつ明確な診断指標が存在せず、疾病発症や病態進行の予測を行うことは現状では不可能である。一方、ほとんどの精神疾患には睡眠障害が併発し、実際に睡眠障害との関連性が深い体内時計システムが破綻したマウスでは数々の行動異常がみられる。注目すべきことに同マウスでは、行動異常に先立ち、血液脳関門(Blood Brain Barrier; BBB)の破綻がみられ、BBBの形成に重要なペリサイト(周皮細胞)が顕著に減少(=ペリサイトロス)していることを見出した。つまり、ペリサイトロスが精神疾患の前兆や、病態の進行を示す客観的指標となる可能性がある。本研究では、精神疾患病態としてペリサイトロスを取り上げ(同定)、その分子メカニズムを体内時計の切り口から解析し、症状との因果関係を解明する。さらに、ペリサイトを可視化させる技術を開発させること(可視化=ペリサイトイメージング)で、疾患の早期診断への将来的応用を指向する。本年度は、ペリサイトロスによる精神行動異常メカニズムの解明を目的に各種実験を行った。体内時計マウス脳組織では、Desmin陽性細胞(ペリサイト)は減少し、BBBは破綻していることを見出しているが、PDGFRβ(ペリサイトマーカー、BBB形成に必須)も同様に減少していた。さらに培養ペリサイトを使用した解析では、時計遺伝子を人工的にsiRNA法により発現抑制させた場合、PDGFRβの発現の抑制が確認された。つまり、時計遺伝子がPDGFRβを直接的に制御していることが強く示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、大学間の異動によるマウスコロニーの維持が一つの重要な課題であったが、事前に回収してあったサンプル等を利用することで、効率的にデータを取得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ペリサイトマーカーのPET/SPECTイメージングプローブを開発し、in vivoでのペリサイト可視化(ペリサイトイメージング)を指向する。病態メカニズムとの因果関係の証明や、動物実験レベルでのイメージングを成功させ、将来的な同プローブ投与によるヒトでのペリサイトイメージングを目指し、その前段階として実験動物での有用性の有無を検証することが目的である。
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Causes of Carryover |
化合物の合成を集中的に行ったため、放射性核種や実験動物など高額な消耗品の購入に至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に計画していた放射標識、動物実験を平成29年度に行うため消耗品として使用する。
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