2018 Fiscal Year Annual Research Report
A personality-based examination of the health-illness continuum: association with gene expression profiles
Project/Area Number |
16KT0198
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
堀 弘明 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 室長 (10554397)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子発現プロファイル / パーソナリティ / ストレス / 潜在プロフィール分析 / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、個人志向型パーソナリティ分類と網羅的遺伝子発現プロファイルの関連を検討することで、適応的・非適応的な心理的要因が個人内で複雑に相互作用することによって個人の健康・不健康が決定される、という仮説を検証した。 われわれは既報論文において、個人志向型の統計的分類手法である潜在プロフィール分析を用い、一般人口から募集した455名の健常成人がパーソナリティ特性等に基づいて2つの適応的グループ(ストレスからの回復力を持つ群、ストレスの影響を受けにくい群)と1つの非適応的グループ(ストレス脆弱性を有する群)に分類されることを見出した(Hori et al., 2014)。 そこで本研究課題では、上記の各群から年齢・性別をマッチさせた20名ずつ、計60名を選び、各被験者の末梢血から抽出済みのRNA検体を用いて、Agilent社製マイクロアレイによりトランスクリプトーム測定を行った。このデータに対し、正規化とフィルタリングを施した後、分散分析とfold changeの基準を用いて発現プロファイル3群間で比較した。群間で発現変動が認められた遺伝子群に対し、パスウェイ解析、ネットワーク解析、および共発現解析を適用することにより、ストレス脆弱性に関与する分子系としてリボソーム遺伝子群が重要であることを見出した。次に、その中でも発現変動が大きく重要性が示唆されたリボソーム遺伝子としてRPL17とRPL34を選定し、うつ病患者における発現変動を検討した。既取得マイクロアレイデータセット、および独立サンプルセットを用いた逆転写定量PCRデータのいずれにおいても、健常対照者と比較してうつ病患者において、上述のストレス脆弱性に関連した発現亢進と同様のRPL17とRPL34の発現亢進が認められた。 本研究の成果は、ストレス関連精神疾患の発症予測に資するバイオマーカーの同定につながりうるものである。
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