2006 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素の特性を生かした高次制御物質の創製と機能開発
Project/Area Number |
17002005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (40004452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 武明 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70302081)
瀬高 渉 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助手 (60321775)
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Keywords | テトラシラジエン / シクトテトラシレン / Woodward-Hoffmann則 / 分子ジャイロスコープ / チオフェン / 安定シリレン / パラジウム |
Research Abstract |
新しい構造・結合様式を持つ高周期14族元素化合物の創製・特異な物性の解明を目的として研究を行った。主な結果は以下のとおりである。(1)以前に開発した安定シリレンを出発物質として新規な1,3-テトラシラジエンを合成単離することに成功した。s-トランス構造を持つ1,3-テトラシラジエンとして初めてのものである。このものは加熱または光照射によって分解し、ほぼ定量的に安定シリレンと対応するシクロトリシレンを与えた。1,3-テトラシラジエンのケイ素-ケイ素単結合より二重結合のほうが熱的にも光的にも容易に切断されることを示しており、興味深い。また、シクロトリシレンの生成は対応するジシレニルシリレンの異性化によるものと理解される。(2)安定シリレンを配位子とするパラジウム錯体の研究途上に、ジパラダシラシクロプロパン骨格を持つ錯体の合成に成功した。このものはフェニルシランと反応し、パラジウム金属を4つ持つ特異なクラスター錯体を生成した。(3)不飽和ケイ素上に炭素置換基をもつシクロテトラシレンの熱異性化を実験と理論の両面から詳しく研究し、一段階の協奏的骨格異性化である可能性が高いことを示した。この協奏的異性化は古くWoodward-Hoffmann則によって理論的には予言されていたが、炭素σπ系では検証困難であったものである。ケイ素系ではじめて見出されたことは興味深い。(4)ケイ素基盤分子ジャイロスコープに関する研究を発展させ、2,5-ビスシリルチオフェンの1,4-位ケイ素を3つの長鎖シラアルカン鎖で結んだかご状化合物の合成とその結晶のX線構造解析に成功した。先のフェニレン化合物同様、この化合物も結晶中でもチオフェン環が回転していると考えられる動的ディスオーダーを示すが、チオフェンはケイ素-ケイ素軸に垂直な双極子モーメントを持つ分子であり、今回のものは分子回転子としてより興味深い。
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Research Products
(10 results)