2008 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素の特性を生かした高次制御物質の創製と機能開発
Project/Area Number |
17002005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 名誉教授 (40004452)
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Keywords | 安定シリレン / 安定シライミン / 重いアレン / 摂動論 / 分子ギア / シリカート / オリゴシラン / コロナン |
Research Abstract |
本研究課題に関する今年度の主な結果は以下のとおりである。(1) 以前に開発した安定ジアルキルシリレンを出発物質として、速度論的に安定なシライミンおよびシラフォスファエテンの合成に成功し、Si=N結合化合物とSi=P結合化合物との間の構造比較を行った。(2) トリシラアレンなど高周期14族元素のアレンが炭素のアレンとは異なり、折れ曲がった骨格を有し、しかも中央の骨格元素が1, 3-元素を軸として回転するような動的構造を有していることはすでに明らかにした。この原因をDFT計算等の理論計算と摂動論によって解析し、高周期典型元素のいわゆる混成欠陥に基づいて理解できることを示した。(3) ケイ素基盤分子機械系の構築の-環として、新しい分子ギヤ系となる、いくつかのビス(9-トリプチシル)ジフルオロシラン誘導体の合成に成功した。これらは室温溶液中でいわゆるギア回転しているが、フッ化物イオンと反応させることによって、五配位ケイ素中心をもつシリカートに変換できる。このものはいわゆるムッタティ則に反して、2つのトリプチシル基がアキシャル位にある特異な構造を有する。このため、2つのギア(トリプチシル基)のかみ合わせはなくなり、たがいに独立に回転する。すなわち4配位系のギア回転を五配位系にすることによってデクラッチすることができた。5配位系は加水分解によって容易に4配位系に戻すことができるので、ギアの化学的なクラッチーデクラッチ系の構築に成功したことになる。(4) 特異な置換基を持つ環状オリゴシランとしてヘキサシラ[6.5]コロナンを低収率ながら単離することに成功した。ケイ素6員環はほぼ平面であることが見出された。
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Research Products
(23 results)