2008 Fiscal Year Annual Research Report
水素-表面反応基礎過程 ; スピン効果、反応ダイナミックス、及び星間水素分子の起源
Project/Area Number |
17002011
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
並木 章 Kyushu Institute of Technology, 工学研究院, 教授 (40126941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 亮 九州工業大学, 工学研究院, 准教授 (30223043)
鶴巻 浩 九州工業大学, 工学研究院, 助教 (20315162)
山内 貴志 九州工業大学, 工学研究院, 助教 (70419620)
成田 克 山形大学, 理工学研究科, 助教 (30396543)
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Keywords | 水素原子 / スピン効果 / 反応ダイナミックス / 水素分子生成 / 氷表面 |
Research Abstract |
本研究の目的は水素と表面の反応過程を基礎的に明らかにすることであり、その為に3つの具体的な反応系を設定し、装置の立ち上げと実験を行っている。これまでの成果は以下のとおりである。 1. 水素吸着のスピン効果を調べるために水素プラズマより解離水素原子を発生し、それを六重極電磁石に通すことでupスピン原子のみを収束させる装置を完成した。また、ゼロ磁界によるスピン反転装置を製作し、upスピン原子の半分をdownスピン原子に変換できた。電磁石により超高真空下にて極低温Si(111)表面を磁化し、水素吸着確率をレーザ倍波発生(SHG)法にて測定するシステムを立ち上げた。表面反応分析システムとスピン偏極水素源を接続した。本年度最終測定を行う。 2. 極低温水氷薄膜を形成し、その表面にて水素原子の吸着と水素分子の形成し、その後分子脱離する過程を系統的に明らかにする。8KでのD_2Oアモルファス氷薄膜表面にD原子を一定量照射し、その後H原子を照射した。このとき脱離するHDとD_2分子を観したが、Eley-Rideal的な直接引き抜き反応は起こらないことが、Hビームの強度や即時照射等のパラメータ制御により確認された。さらに、星間水素分子が宇宙塵を覆う氷表面上で形成されるという説の実際を実験室レベルで検討する。 3. H(g)+D(ad)/Si→HD(D_2)反応での脱離HD分子の速度分布を測定する為に疑似ランダムチョッパーを用いた飛行時間(TOF)分布測定装置を製作した。引き抜き反応の結果脱離するHD分子のTOF測定に成功した。平均並進エネルギーは0.81eVと求まった。エネルギー分布は平均エネルギーが1.1eVのものと0.33eVのものに分解された。この結果は、我々がキネテクスの研究で提案してきたhotcomplex機構とadsorption-induced-desorption機構と矛盾が無いことを示した。
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Research Products
(19 results)