2007 Fiscal Year Annual Research Report
AIDによる抗原刺激依存性抗体遺伝子改編機構の研究
Project/Area Number |
17002015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本庶 佑 Kyoto University, 医学研究科, 客員教授 (80090504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新藏 礼子 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50362471)
ベガム ナシム 京都大学, 医学研究科, 助教 (80362507)
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Keywords | クラススイッチ / 体細胞突然変異 / RNA編集 / ウラシルDNAグリコシラーゼ / 免疫沈降法 / マイクロアレイ法 |
Research Abstract |
本年度は、AIDの作用機構解明に大きな前進があった。それは、AIDの多数の突然変異体をスクリーニングし、in vitroにおけるDNA脱アミノ活性とin vivoにおけるクラススイッチならびに体細胞突然変異活性を詳しく比較した結果、in vitroのDNA脱アミノ活性がほぼゼロのものでも、in vivoの活性で十分な機熊を持つことが明らかになった。とりわけ、N51A突然変異体ではin vitroのDNA脱アミノ活性は検出限界以下であるにも関わらず、in vivoではwildタイプの25%程度のクラススイッチ活性を示した。このことはDNA脱アミノ活性がin vivoでは必要なく、別の活性を通じてAIDの機能が発揮されることを示す。第二の大きな前進はAIDが異常発現することにより発癌を引き起こすことが明らかになった点である。このことは、AID欠損マウスにおいてリンフォーマの発現が著しく低下することによってはじめて示された。さらに、ヒトのC型肝炎ウイルス感染患者検体において、AIDの発現がみとめられ、in vitroでC型肝炎ウイルスを感染させた肝細胞ではAIDの発現が誘導されることが明らかとなった。同様のことはH pylori菌の胃上皮粘膜細胞感染においても明らかとなった。以上のことからAIDの異常発現がネズミやヒトにおける発癌の原因となる可能性が示され、その発現機構の解明が極めて重要であるということが明らかとなった。今後AIDがどの程度広くヒトの発癌の関わるのか極めて興味深い結果となった。
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Research Products
(18 results)