2009 Fiscal Year Annual Research Report
ΑΙDによる抗原刺激依存性抗体遺伝子改編機構の研究
Project/Area Number |
17002015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本庶 佑 京都大学, 医学研究科, 客員教授 (80090504)
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Keywords | クラススイッチ / 体細胞突然変異 / RNA編集 / ウラシルDNAグリコシラーゼ / 免疫沈降法 / マイクロアレイ法 |
Research Abstract |
本研究計画において、提案したAIDとの結合分子としてSpt6を同定し、その機能を明らかにした。Spt6はAIDのN末端に結合する。しかしながら、Spt6のノックダウンによって影響を受けるのはクラススイッチ組換えであり、体細胞突然変異はむしろ軽度ながら増強される。これらのことからSpt6とAIDの物理的な結合はAIDの機能にかかわるものではないと考えられる。その理由はAIDのN末端には体細胞突然変異に必須の機能があるからである。また、それ以外に約10種類程度のAID結合タンパクを分離同定し、これらのクラススイッチ組換えに関わる機能をCH12細胞におけるノックダウン法により検索したが、機能的に関係する因子は全く見られなかった。これらはすでに報告されていない分子がほとんどであった。このことから、免疫共沈降法によるAIDの機能的なcofactorの同定には多くの困難があり、このプロジェクトはSpt6の機能の同定をした論文にまとめた。さらにAIDが各種細胞でいつどのように発現されるかを遺伝的にマークする方法を確立し、ネズミ個体で長期観察を行なった。その結果、Tリンパ球中で加齢とともに多くの(20%)CD4T細胞がAIDの発現を経験することを明らかにした。しかしながら、今のところT細胞受容体の突然変異の増加は認められておらず、この生理的意義は不明である。これは従来B細胞特異的にAIDが発現されるという常識を覆したもので、今後はT細胞におけるAIDの機能が大いに注目される。
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Research Products
(9 results)