2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17002019
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田中 啓二 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (10108871)
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Keywords | プロテアソーム / ユビキチン / タンパク質分解 / ATP / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
プロテアソーム(真核生物のATP依存性プロテアーゼ複合体)はユビキチン(蛋白質分解の指標分子)で修飾された蛋白質を選択的に分解する大掛かりな細胞内装置であり,多様な生体反応を迅速に、順序よく、一過的にかつ一方向に決定する合理的な手段として生命科学の様々な領域で中心的な役割を果たしている。本研究の課題は、プロテアソームにおける最大の謎である分子集合の機構と多様性の解明である。20Sプロテアソームは7種類のαサブユニットから形成されるαリングと7種類のβサブユニットから形成されるβリングがαββαの順に重なった分子量750kDaの巨大な複合体であり、活性型26Sプロテアソームの触媒活性を担っている。本年の最大の成果は、20Sプロテアソームの分子集合を促進する新奇なシャペロン分子PAC(Proteasome Assembling Chaperone)1,PAC2を発見したことである。即ちPAC1,PAC2はヘテロダイマーとして働き、20S形成の最初のステップであるαリングの形成を促進することを明らかにした。そしてPAC1及びβリングの形成と引き続く20Sプロテアソームの完成(成熟)を仲介することが知られていたUmp1(プロテオアセンブリン)の欠損マウスの作製に成功し、これらが個体発生に必須な役割を果たしていることを証明した。またプロテアソームの多様性の解析としては、5つのアイソフォームが存在するユビキチン受容体「Rpn10」の遺伝学的解析、新規サブユニット「Rpn13」と「胸腺特異的プロテアソーム」の発見に成功した。さらにユビキチンに関する研究では、品質管理リガーゼとしてのCHIP(シャペロン依存型ユビキチンリガーゼ),Parkin(常染色体劣性若年性パーキンソン病の責任遺伝子産物),SCF^<Fbs>ファミリー(ERADに関与する糖蛋白質識別リガーゼ)について分子機能や活性制御を詳細に検討した。さらにオートファジー(自食作用)の遺伝学的研究から、オートファジーがユビキチン化蛋白質の選択的分解に関与すること、オートファジーの欠損は神経変性疾患を発症させるという新知見を得た。
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