2005 Fiscal Year Annual Research Report
初等教育における発展的科学教育の計画・実施・評価に関する学際的な開発研究
Project/Area Number |
17011004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇野 忍 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30004120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村瀬 公胤 信州大学, 教育学部, 講師 (20361602)
本間 典子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50345039)
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Keywords | 発展的科学教育 / カリキュラム開発 / バイオ教育 / 評価システム / 小学校児童 / 総合的な学習の時間 |
Research Abstract |
平成17年度研究の結果、目標毎に以下の実績が得られた。 (1)発展的科学教育の適時制(臨界点)の同定について:千葉県白井市内の小学校5年生2学級を対象に、「共に生きる」という共通テーマ、「知ることと使うこと」を学習目標に、総合的な学習の時間に高校レベルのバイオ教育を行った。その結果、(1)学習内容の十分な理解、獲得した知識を使った「ウィルスは生き物か生き物でないか」などの課題解決が可能なこと、(2)多動な傾向を持つ児童などでも授業に集中でき、十分授業を楽しめることが示され、学習環境などの整備により、小学校高学年児童に高校レベルのバイオ教育が可能であることが示された。 (2)児童生徒の科学力育成に必要な援助者チームの構成モデルについて:(1)教育委員会、小学校の協力により授業支援体制を整え、(2)授業開発体制として研究者、大学院生、教員各チームの意見交換の場を設定し、(3)実施体制として教員と大学院生のリレー授業を実施すると共に、TA,TTも活用した。こうした構成が有効であった。 (3)発展的科学教育に必要なカリキュラムや実験の開発について:バイオ関連の知識の学習、児童にも実施可能なDNA抽出実験等の実験、大学院生の研究テーマや研究内容の語りかけを内容とする、児童の探求心や探求活動を活性化させるカリキュラムを開発した。事前事後アンケート、概念地図の変容、毎授業時間のわかったことの記述などから、このカリキュラムの有効性が示された。 (4)効果の測定及びカリキュラムの改善調整のための評価系の開発について:(1)授業直後の研究者、大学院生、教師による授業の改善調整のための検討会議による授業評価授業記録と(2)児童の産出した概念地図、専門用語の既知度調査、担当教員の感想等による効果の測定・分析・評価という2系統の評価システムを開発した。 なお、(5)国内外の科学教育の現状と問題点の明確化については、現時点で達成できていない。
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