Research Abstract |
初年度の今年は,プログラム開発に必要な調査と試作に重点を置き,最後に試作した教材による授業を行い,改善点の洗い出しや次年度の企画立案を行った. 《調査》想定しているプログラムの水準に沿って対象を高校生とし,研究協力者の高校教諭(数学,情報を担当)との議論,数学・情報科目の授業内容や授業方法の調査,高校生へのインタビューを行った.その結果,生徒の日常生活に密接な関連があり,なおかつ数理的な思考やモデルが活用されているテーマとして,携帯電話,インターネット,クラブ活動,レジャー,授業や進路の選択などを候補として選定した. 《試作》調査結果にもとづいて,以下のテーマについて,日常生活から話題を説き起こしながら,なるべく数学を意識せずに数理的な思考やモデルを学べる教材を試作した。 (テーマ1)携帯電話の選び方:携帯電話を選ぶとすれば何を基準にするか,という話題から始めて,料金・サービス・デザインなど一対ずつ比較して順位を決める方法を通して,ベクトルと行列,連立方程式の機能や効用を体験的に学習させる. (テーマ2)携帯電話の料金プラン:使用している携帯電話の通話時間と料金の関係から始めて,グラフや関数による表現,表計算ソフトによる計算,小遣いの範囲で支払える使用量の計算(逆関数),平均料金(分布や平均の考え方)などを考えさせる. (テーマ3)ポータルサイトの路線探索:インターネットのポータルサイトで提供される路線探索機能の仕組みを考える過程を通して,グラフによる図形の表現,距離の性質などを考えさせる. 《実施》研究協力者からのコメントをもとに試作教材を改訂し,高校2年生を対象に実際に授業を行った.また,生徒へアンケートを行い,改善点の洗い出しを行った.
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