Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 宏一 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (10219496)
阿部 聡 金沢大学, 自然科学研究科, 講師 (60251914)
安藤 利得 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (80212679)
藤竹 正晴 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (40212188)
佐藤 政行 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (00266925)
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Research Abstract |
本研究では,学生の主体性を伸ばすための試行として,学生による演示実験開発の学生組織「サイエンス・ラボ」を立ち上げた。その立ち上げ方,そこに参加した学生の誘導の仕方,彼らの活動の観察等々を通して,彼らに「ゲスト」(受動的学習態度)から「ホスト」(能動的学習態度)へと変容してもらう方法を研究した。また,演示実験の対象となる方々にも,科学に対してより能動的になってもらうような工夫を模索した。サイエンス・ラボを実施して取り入れた要点と共にまとめると以下のようになる。(1)明確な課題。初めは教員から明確なテーマを与え,その実践経験の後に,テーマを考え出してもらうことを期待した。初めのテーマは,彼らの知識の範囲にある,小中高の教科書の内容から選んだ。テーマは与えるが,どう達成するかは学生に任せる。(2)装置の操作・作成。演示実験でものを作る際は,教員は準備をせず,材料の調達,予算から計画させ,検討させる。机上の学習の他に手を動かして考える過程を取り入れた。(3)頻繁な報告。教員は指導はせず,誘導する。ただし,学生と教員の接触の機会を増やす工夫として,各テーマの企画・進捗状況報告を頻繁に行なう事にした。特に、各人にノートを与え,記録をとることを義務化し,文章化したものに基づいて議論し結果も文章化する事を決めた。(4)小人数の研究室の中での活動。同じ学年では,お互いの関係が固定している。年齢に伴う責任感を育てるため,各テーマはできるだけ異なる学年の学生で構成した。(5)学外での発表。演示実験の発表の場所をできるだけ学外とし,学外者を対象とした。 その結果,サイエンス・ラボの運営を通して,実践的学習の効果を見る事ができた。特に,学生は学外での発表に大きな責任を感じていた。学外で発表することで,学生は,自分が演じていることの社会的意義や責任を認識し,「自己表現の場」を体験した。この経験は,学生の意欲を増す方向に役立っている。学ぶという「ゲスト」の立場とは異なる,演じたり教えたりする「ホスト」の立場に自分を置く経験が重要と考える。
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