Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 敦三 広島大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (50168621)
馬場 卓也 広島大学, 大学院国際協力研究科, 助教授 (00335720)
山口 武志 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (60239895)
二宮 裕之 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (40335881)
岡崎 正和 上越教育大学, 学校教育学部, 助手 (40303193)
|
Research Abstract |
本研究の目的は,算数から数学への移行教材の開発・実施・評価に関して,一般化の視座から,規範性と記述性の高い認知モデルを開発することにある。本研究では,数学的一般化を「内包的一般化」と「外延的一般化」に分岐させ,それらを認知論的に再定義しながら,「一般化分岐モデル」を新たに提起している。モデルの記述的精度を上げ,規範的な確度を増すためには,(1)学習集団の思考を整理・分析する視座と,(2)記号過程を追跡する概念装置が必要となる。本年度の研究では,その解決に向けて,理論的・実践的研究を鋭意進めた。本年度の研究成果は下記の3点にまとめられる。 第1は,前述の課題(1)にかかわって,「社会的相互作用を分析するための記号論的枠組み」について考察した点である。具体的には,「家紋の分類」(中学2年生が対象)と題する教授実験を設計した上で,内包的一般化および外延的一般化という2つの一般化に照らしながら,「回転」という視座に基づく生徒の数学的活動の様相を分析した。第2は,平成14・15・16年度に引き続き,第4回国際ワークショップを開催した点である。本ワークショップでは,学習集団の力動性を社会的相互作用の視座から考察しているSteinbring教授を招聘し,氏の提唱する「認識論的三角形」による社会的相互作用の分析について協議した。第3は,算数から数学への移行を促す教材の開発である。本研究では,Wittmannの教授単元に注目しながら,その教授原理を批判的に考察し,課題を指摘した。その上で,Presmeg教授の提唱する記号論的連鎖モデルを援用しながら,教授単元を記号論的連鎖の視点から捉え直し,学習指導過程の分節を試みた。こうした考察は,上述の第2の研究とともに,課題(2)で述べた記号過程を追跡する概念装置に関する基礎的研究にあたる,と考えている。
|