Research Abstract |
本研究の成果は,次のようなものであった。 (1)自然事象に関する幼年児の認知発達と幼年児向け科学教育プログラムに関する既存文献の整理・分析:(1)子どもの年齢に配慮した適時性,(2)子どもの個性に配慮した適時性,(3)子どもを取り巻く科学社会・文化に配慮した適時性から,「最適な」内容の学年配当や内容配列を考えていく必要がある。 (2)生命科学分野における幼年児の科学学習コンピテンスを伸長する学習活動の開発・実践:テントウムシのような小動物や,小学校の樹木等を利用した,統合的で感情豊かな科学活動を実践した。科学的なアイデアへの多様な発展可能性はもちろん,対人能力や内省能力などにも科学活動の影響が見られた。 (3)物理科学分野における幼年児の科学学習コンピテンスを伸長する学習活動の開発・実践:紙トンボや振り子等のおもちゃを利用して,自然事象を論理的・分析的に思考したり,創造的に物作りを行ったりする科学活動を実践した。(1)様々な集団,やり方で他者と関わる,(2)自律的・協同的に活動を行う,(3)道具を作りうまく操作する,(4)新しい考えを創り出して認め合うといった重要な資質・能力の育成が見られた。 (4)海外研究者との協同による日本の小学校理科カリキュラム分析:米国ウイリアム&メアリー大学才能教育研究所の研究者と協同で,日本の小学校理科カリキュラムが,(世界的に)成績の高い児童に適したものなのかという観点から分析,検討を行った。12月に愛媛大学において,その研究者を招聘し,ミニシンポジウムを開催した。 最後に,本研究の成果より,「幼年期」の「科学」教育の特性と意義として,(1)学びの生得性,(2)学びの持続性(・多様性・発展可能性),(3)学びの協同性,(4)学びの文化性,が提案された。
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