2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17012009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
濡木 理 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (10272460)
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Keywords | がん細胞の転移 / がん細胞の浸潤 / 細胞骨格再形成 / 細胞膜の開口放出 / 低分子量Gタンパク質 / X線結晶構造解析 / Wnt / β-catenineシグナル / TGF-βシグナル |
Research Abstract |
がん細胞の転移・浸潤にともなって生じる形態変化には、細胞骨格の再形成、開口放出による細胞膜の供給が必須である。これらの過程はsmall GTPaseによって制御されている。我々は、アクチンフィラメントの再形成に必須なRac1、そのGEFであるAsef、およびその活性化因子であるAPC(大腸がん抑制遺伝子産物)の3者複合体の構造解析を目指している。現在APCとAsefの複合体の大腸菌を用いた大量調製系の構築に成功し、結晶化スクリーニングを行っている。さらに、出血時に血小板が凝集して血液凝固を起こす際に、アクチン繊維の重合を促進し、血小板の形態変化を引き起こすDaamタンパク質のFH2ドメインの結晶構造を3.0Å分解能で決定し、FH2ドメインがGアクチンを重合してFアクチンにする新規のメカニズムを解明した(論文投稿中)。また,small GTPaseによる開口放出時の膜融合制御機構の構造基盤を解明するため、ほ乳類でのRalAおよび出芽酵母でのSec4pとそれらに対するエフェクターについて,X線結晶構造解析,電子顕微鏡による構造解析および機能解析を行っている。早くからがんとの関連が示唆されてきたRalAに関しては,そのエフェクターであるExocyst複合体について,ブタ脳からの精製方法を確立し、低温電子顕微鏡をつかった単粒子解析を行った.また,GST-RalAをbaitとしたアフィニティー精製を行い,4種類の新規エフェクター候補の分子を同定し、そのうちの1つとしてRalのGAPを初めて同定した(論文準備中)。一方,出芽酵母のRab GTPaseであるSec4pについては,そのGEFであるSec2pのGEFドメインの結晶構造を2.8Å分解能で決定し、本タンパク質がトロポミオシンに酷似した新規のGEFドメインを持つことを明らかにした(論文準備中)。 尚、本課題において東京工業大学大学院生命理工学研究科・助手、沼田倫征(研究者番号10401564)にタンパク質のX線結晶解析用務で理化学研究所に、研究協力出張を依頼した。
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Research Products
(7 results)