2005 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達素過程におけるがん関連遺伝子の作用機構
Project/Area Number |
17012010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70116375)
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Keywords | TAK1 / シグナル伝達経路 / ノックアウトマウス / Wnt / プロテインキナーゼ |
Research Abstract |
1)マウスをモデル動物としたTAK1の役割解明:哺乳動物の個体レベルでのTAK1の役割解明を目指して、TAK1の組織得意的ノックアウトマウスの作成を行った。最初の標的組織として、TGF-βおよび炎症性サイトカインのインターロイキン1、tumor necrosis factor(TNF)がその形態形成および恒常性において必須の役割を果たしている皮膚を選び、皮膚特異的TAK1の欠損マウスを作成した。その結果、TAK1の欠損によって皮膚ケラチノサイトの細胞死が引き起こされることを発見した。この結果は、TAK1が哺乳動物の皮膚表皮の細胞生存に必須の働きをしていることを始めて示すものである。 2)Wnt1シグナルを制御する新規のシグナル伝達経路の解明:Wnt1経路を制御する新規のシグナル伝達経路であるTAK1-NLK経路の構成因子の同定と制御機構の解明を目指して研究を行った。その結果、TAK1-NLK経路はWntファミリーの中でWnt1とは別のグループに属するWnt5Aによって誘導される細胞内カルシウム濃度の上昇がCa2+/calmodulin-dependent kinase II(CaMKII)を活性化し、このCaMKIIによってTAK1が活性化されることを発見した。さらに、TAK1とNLKの間で核内に存在するキナーゼであるHIPK2が働くことを見出した。また、NLKの下流では,Wnt1によって活性化される転写因子TCFがNLKによって直接リン酸化され転写活性が抑制されることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)