2006 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達素過程におけるがん関連遺伝子の作用機構
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17012010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (70116375)
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Keywords | TAK1 / シグナル伝達経路 / ノックアウトマウス / プロテインキナーゼ / 細胞死 / 活性酸素 |
Research Abstract |
これまでのマウスをモデル系とした研究から、TAK1は皮膚上皮の細胞の生存に必須であることを明らかにしてきた。上皮組織におけるTAK1の機能低下は、上皮細胞のアポトーシスを誘導する。がんの発症進行はアポトーシスの阻害が重要であることが知られている。そこで,今年度は、TAK1のシグナル伝達経路が、実際のがんの発症進行にどのように関係するかを,皮膚がんをモデル系として検討した。TAK1経路を選択的な阻害剤である5Z-70xozeaenolで阻害し、変異誘発物質であるDMBAと炎症を誘導するTPAを用いた2段階皮膚発がん試験を行った。その結果、TAK1の阻害によって誘導されるパピローマの数および大きさが顕著に抑制されることを見出した。このことは、TAK1による細胞生存シグナルは、がんの発症と進行に重要な働きをしていることを示す。また、TAK1による細胞生存のシグナルを分子レベルで解明するため、TAK1欠損上皮細胞を用い、細胞生存に関わる細胞内イベントの検討を行った。その結果、TAK1欠損による細胞死は、細胞で発生する活性酸素の除去機構が減弱しているためであることを突き止めた。TAK1の欠損細胞では、活性酸素を還元するカタラーゼなどの酵素の発現が低下し、活性酸素が蓄積しやすい環境になっている。今後は、TAK1-活性酸素の経路とがん化の関連についてマウスをモデル系として、in vivoで検討していく。
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Research Products
(3 results)