2005 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼシグナリングの分子的基盤に関する研究
Project/Area Number |
17012015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名田 茂之 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (50291448)
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Keywords | チロシンキナーゼ / がん遺伝子 / がん / Src / 分子構造 |
Research Abstract |
チロシンキナーゼ型がん原遺伝子産物であるSrc family kinases(SFK)は、がんの発症や悪性化との強い関連性が示唆されているが、それらの正常細胞における本質的作用や細胞がん化の分子機序に関しては未だに不明な点が多く残されている。また、がんの悪性化と関連するSFK制御系破綻の分子機序は全く不明である。そこで本研究では、SFKの機能および制御機構を分子構造レベルにまで掘り下げて徹底的に解明し、その成果に基づいて、SFKの関与するがんに対する新たな治療標的を開拓することを目指して以下の研究を行った。1)SFKの機能制御に関与するCskとCbpの複合体の構造解析を試みた。これまでに、NMR法により、CskSH2ドメインとCbpリン酸化部位との相互作用表面の同定に成功した。一方、SFK標的膜蛋白質SHPS-1の結晶構造解析を行い、そのリガンドCD-47との結合ドメインの結晶構造を明らかにした。2)SrcのトランスジェニックマウスおよびCskノックアウトマウスの解析を進め、SrcおよびCskがアクチンおよび中間径フィラメントの構築の制御に関与して細胞形態や性質の発現において中心的な役割を担うこと、また、MMP2/9などのプロテアーゼの発現誘導を介して細胞外環境の制御においても重要な役割を担うことをin vivoレベルで明らかにした。3)細胞膜ミクロドメイン「ラフト」におけるSFKの機能解析を行い、受容体エンドサイトーシスの制御における役割を明らかにし、また、その制御と関連する新たな標的蛋白質の同定に成功した。4)SrcおよびCskの本質的な機能を、線虫を用いて遺伝学的に解析し、細胞運動の方向性、極性の決定を司る細胞骨格系の制御においてSrcが必須の役割を担うことを明らかにした。
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