2006 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼシグナリングの分子的基盤に関する研究
Project/Area Number |
17012015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名田 茂之 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (50291448)
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Keywords | チロシンキナーゼ / がん遺伝子 / がん / Src / 分子構造 |
Research Abstract |
チロシンキナーゼ型がん原遺伝子産物であるSrc family kinases (SFK)は、がんの発症や悪性化との強い関連性が示唆されているが、それらの正常細胞における本来の機能や細胞がん化の分子機序に関しては未だに不明な点が多く残されている。本研究では、SFKの機能および制御機構を分子構造レベルにまで掘り下げて徹底的に解明し、その成果に基にSFKの関与するがんに対する新たな治療標的を開拓することを目的として以下の研究を行った。1)SFKの制御因子Cskと相互作用する分子の網羅的な解析をLC-MS/MSを用いて行い。新たな結合分子としてZO-1,ZO-2,Talinを同定した。SFK標的膜蛋白質SHPS-1の結晶構造解析を行い、そのリガンドCD-47との結合ドメインがT細胞受容体などの抗原受容体と非常に良く似た構造をとること、およびリガンド結合に必要なアミノ酸残基を同定した。2)Srcのトランスジェニックマウスの解析より、Srcが微小管形成の制御に重要な役割を担うことを明らかにした。上皮組織特異的なCskノックアウトマウスの解析を進め、SrcおよびCskがアクチン骨格系の制御を介して細胞間相互作用の制御において中心的な役割を担うこと、また、炎症性サイトカインやMMP2/9などのプロテアーゼの発現誘導を介してがん悪性化と関連する細胞外環境の制御においても重要な役割を担うことを明らかにした。3)細胞膜ミクロドメイン「ラフト」におけるSFKの機能解析を行い、Srcによるトランスフォーメーションの制御にラフトタンパク質Cbpを介するSrcの細胞内局在の変化が重要な役割を担うことを明らかにした。4)SrcおよびCskの本質的な機能を、線虫を用いて遺伝学的に解析し、細胞運動の方向性、極性の決定を司る細胞骨格系の制御においてSrcが必須の役割を担うことを明らかにした。
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