2009 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼシグナリングの分子的基盤に関する研究
Project/Area Number |
17012015
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 雅人 Osaka University, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
|
Keywords | チロシンキナーゼ / がん遺伝子 / がん / Src / 分子構造 |
Research Abstract |
がん化の制御機構を分子レベルで明らかにするために、がん原遺伝子産物c-Srcチロシンキナーゼの制御に関わるラフト局在アダプター蛋白質Cbpおよび後期エンドソームに局在する新たなラフトアダプター蛋白質p18の機能解析を行い、以下の成果を得た。1) Cbpによるc-Srcの形質転換活性抑制の分子機序を解析し、Cbpおよびラフト自体がc-SrcのみならずSrc family全般の形質転換活性の制御に関わることを明らかにした。2) がん化に伴うCbpの発現抑制機構を解析し、CbpがSrc以外のK-RasやH-Rasなど多様ながん遺伝子の活性化によっても発現抑制されることを明らかにし、そのメカニズムとしてエピジェネティックな変化の可能性を示した。また、Cbp変異マウスを用いた解析よりCbp遺伝子ががん抑制遺伝子として機能することを明らかにした。3) p18-KOマウスや細胞を用いてp18の生理機能解析を進め、p18がE-cadherinなどの細胞接着分子の膜への提示を制御することによって表皮組織構築において必須の役割を担うことを明らかにした。また、p18-MEK1経路がSrc, K-Ras, Pakなどのがん遺伝子によるがん化において必須となることを見いだし、その標的候補遺伝子群をDNAマイクロアレイ解析により同定した。その結果、p18-MEK1経路が多様なヒトがん細胞の増殖においても重要な役割を担うことが示唆された。
|