2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞運動刺激因子の立体構造に基づく腫瘍転移抑制剤の開発
Project/Area Number |
17012021
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
田中 信忠 昭和大学, 薬学部, 講師 (00286866)
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Keywords | がん / ドラッグデザイン / 転移 / 結晶 / X線 / 立体構造 / 構造生物学 / 阻害剤 |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍細胞が細胞外に分泌し産生細胞の運動を刺激する2種類の自己分泌型細胞運動刺激因子(「Autocrine Motility Factor、以下AMFと略」と「Autotaxin、以下ATXと略」)の腫瘍転移における作用機序を分子レベルで解明し立体構造に基づく腫瘍転移抑制剤の合理的開発を実現するため、両者に関する構造生物学的研究を行う。即ち、本研究の一つの柱は「AMFの立体構造解析」、もう一つの柱が「ATXの立体構造解析」である。 AMFに関しては、大腸菌を用いて発現させ、2段階のカラム操作で精製したmAMFを用いて結晶化を行い、板状結晶を得ることに成功した。共結晶化法により、8種類の阻害剤との複合体結晶の調製にも成功した。シンクロトロン放射光を用い、回折強度データの収集を行った。分子置換法による位相決定、構造精密化を行い、各種阻害剤複合体に関し高分解能の立体構造を得ることができた。その結果、阻害剤の構造機能相関に関する知見を得ることができた。すなわち、阻害剤の嵩高さ(炭素鎖の長さ)と阻害活性との間には相関が見られた。嵩の小さい阻害剤(炭素鎖数4及び5)複合体の場合水分子が結合していた部位を、嵩高い阻害剤(炭素鎖数6)複合体では官能基が占有しており、後者の阻害剤が統計的に有意に有効であった。これらの知見は、新規阻害剤デザインに有用である。 ATXに関しては、N末端からある長さを削った2種類のコンストラクトに関し、大腸菌を用いた組換え蛋白質の発現系構築に成功した。いずれに関しても、天然型と同様の細胞運動刺激活性を保持していた。これらに関し、大腸菌の大量培養・精製を行い、結晶化条件を探索中である。しかし、まだ得られる精製サンプル量が十分ではないため、さらなる発現・精製条件の改良が必要である。
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Research Products
(2 results)