2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティング法による多段階発がん機構の解析
Project/Area Number |
17013006
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
野田 哲生 Japanese Foundation For Cancer Research, 所長 (10183550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八尾 良司 財団法人癌研究会, 細胞生物部, 主任研究員 (80291095)
柳沼 克幸 財団法人癌研究会, 細胞生物部, 研究員 (40182307)
高野 洋志 財団法人癌研究会, ゲノムセンター, 研究員 (00241555)
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / 癌 / ゲノム / シグナル / モデル動物 |
Research Abstract |
本研究における第一の柱である「がん関連遺伝子の機能解析」では、Shhシグナル活性化による発がん機構の解析で、いくつかの大きな成果が得られた。まず、昨年までに我々が同定した、表皮基底細胞腫(BCC)の発生過程でGli2遺伝子により発現誘導される新規遺伝子群の機能解析から、その一つの遺伝子が細胞膜表面の細胞増殖因子受容体の糖鎖の構造を変化させることで、細胞内シグナルの活性化を誘導し、皮膚基底細胞の増殖を引き起こしていることが明らかとなった。この新たな知見は、BCC治療における新たな分子標的の存在を示唆しており、現在、当該増殖因子受容体の阻害剤投与による表皮基底細胞種治療の有効性を検討している。また、BCCの特徴は、その著しい浸潤性であるが、我々は、本年度、BCCにおいて、Shhシグナル下流で細胞の浸潤性に必須の機能を有する遺伝子の同定に成功しており、この分子も新たな分子標的として期待される。本研究の第二の柱である「多段階発がんにおける各種遺伝子の機能解析」においても、Shhシグナル活性化による発がん過程に関与する遺伝子が同定されている。すなわち、Shh活性化による小脳随芽腫(MB)発生過程に関し、その後期に発現が活性化される遺伝子として同定したLcn2遺伝子のノックアウトマウスを用いた機能解析から、確かにLcn2遺伝子の不活化が、MBの発生頻度を、約半分にまで抑制することを見出した。最後に、第三の柱である「フォワードジェネティクスによる解析」では、ノックアウトマウスの作製と交配により、新規に同定したApc遺伝子欠損による消化管腺腫発生を抑制する機能を有する遺伝子が、血清中の脂質レベルの制御を通じて、腺感の発生を抑制していることが明らかとなった。
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