2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 雅 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40134621)
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Keywords | 癌 / 細胞増殖 / シグナル伝達 / 蛋白質 / 蛋白質リン酸化 / 転写複合体 / プロテオーム / RNAi |
Research Abstract |
Tobファミリータンパク質、Tob-NOT複合体構成成分、Tob会合Ndrキナーゼに関して以下の研究を進めた。(1)TobがUV依存的DNA損傷による細胞死誘導を巧妙に制御していることを見出した。つまり、弱いUV刺激(30J/m^2程度)ではTobの発現が上昇し細胞死を抑制すること、そして強いUV刺激(100J/m^2以上)ではTobタンパク質は速やかに分解し細胞死が誘導されることを見出した。さらに、Tobがミトコンドリア画分にも存在し、チトクロームCのミトコンドリアからの放出に関わることを見出した。またTobファミリーANAについては、ANA欠損マウスでは肺adenocarcinomaを含む腫瘤形成が比較的高頻度に見られた。分子生物学的解析から、ANAはTGF-βシグナルを抑制することで腫瘍形成の進展に関与する可能性が示唆された。(2)Tob-NOT複合体構成成分でdeadenylase活性を示すCNOT6Lが細胞増殖を制御することを示した。その分子機構を解析するために、RNAi処理CNOT6L発現抑制細胞とコントロール細胞でのmRNA発現をDNA microarray法で比較した。その結果p27^<KiPl>mRNAレベルがCNOT6L発現抑制で顕著に上昇していることを見出した。さらにp27^<KiP1>mRNAの分解速度がCNOT6Lの発現抑制で遅延し、それに伴いp27^<KiP1>タンパク質レベルも上昇していることを示した。次いでCNOT6Lがp27^<KiP1>mRNAの3'UTR(un-translatedregion)中の配列を特異的に認識することを示した。この認識機構により、CNOT6Lはp27kiPimRNAのpoly(A)配列を選択的に分解し、p27KiPimRNA代謝制御の一翼を担うと考えられる。この知見はTob-NOT複合体が転写制御に関わるのみならず翻訳制御に関わることを示している。我々はまた、RNAi法によるCNOTlやCNOT2の発現抑制が細胞死を誘導することを見出した。(3)Tob会合Ndr2キナーゼを欠損するマウスは生後半年では顕著な巨視的異常がなく、より詳細な解析を進めている。
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