2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳腺発がん機構におけるBRCA1、BRCA2遺伝子の機能解析
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17013027
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三木 義男 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 教授 (10281594)
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Keywords | 乳癌 / BRCA2 / DNA損傷修復 / 癌精巣抗原 / アポトーシス誘導 / 核外移行シグナル / 中心体制御 |
Research Abstract |
BRCA2の異常による乳癌の発生分子機構の解明を目的に(1)新規結合分子を同定しその機能解析を行った。また、(2)中心体制御に関わる新規機能を解析した。結果と考察(1)BRCA2に結合する蛋白質として、癌精巣抗原の1つであるBJ-HCC-20Aを同定した。内在性BJ-HCC-20AとBRCA2の結合を確認し、その結合はM期依存的なBRCA2のリン酸化により制御されていることを明らかにした。また、BJ-HCC-20Aの過剰発現により細胞増殖は促進され、抑制により細胞増殖の抑制及びアポトーシスの誘導を認めた。アドリアマイシン処理によるDNA損傷時には、BJ-HCC-20AおよびBRCA2の発現は減少し、同時にBJ-HCC-20Aを過剰発現させるとアポトーシスの誘導は抑制された。これは、BJ-HCC-20Aは細胞増殖を促進すること、及びBRCA2と協同でDNA損傷に応答したアポトーシス誘導を制御し、それにM期依存的なBRCA2のリン酸化が関与する可能性を示唆するものである。(2)我々はBRCA2が中心体移行シグナルを有して中心体に局在し、その複製の制御など核外でも機能していることを報告した。しかし、BRCA2の核外移行に関してはこれまで報告されていない。そこで、BRCA2の核外移行メカニズムの解明を試み、その機能異常によるがん化への可能性を示した。BRCA2のアミノ酸配列から推定核外移行シグナル(NES)を2箇所に見出し(NES1、NES2)、これらはCRM1依存的に機能するNESであることを示した。核外移行シグナルに変異が生じると、BRCA2の中心体における機能不全により中心体の数の異常を伴う多極化細胞の増加、および多核細胞の増加が認められた。これらの結果は、BRCA2の核外移行、および中心体への局在機構の制御不全が乳腺のがん化に関与している可能性を示すものである。
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