2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳腺発がん機構におけるBRCA1、BRCA2遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
17013027
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三木 義男 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 教授 (10281594)
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Keywords | 遺伝性乳がん / BRCA1, BRCA2 / DNA損傷修復 / 中心体制御 / 14-3-3 / BJ-HCC-20A |
Research Abstract |
乳癌は二本鎖DNA切断修復機構に関わるBRCA1、BRCA2遺伝子の異常により発生し、この両分子によって担われる情報伝達の流れの解明は、乳がんの発生機構を解明する上で不可欠である。そこで、我々は、乳腺の発がん機構の解明を目的に、DNA損傷修復機構、細胞死誘導機構の解析を進めた。 1) 乳癌原因遺伝子BRCA1/2のDNA損傷修復機能の解明 BRCA2と細胞内で相互作用する分子としてBJ-HCC-20Aを新たに見出した。BJ-HCC-20Aは癌-精巣抗原の一つで、その強制発現は細胞増殖を促進した一方、ノックダウンによって増殖抑制とアポトーシス誘導が見られた。また二重鎖切断によるアポトーシス誘導時に発現量が低下し、その際強制発現すると細胞死を抑制したことから、BRCA2と協調してDNA損傷修復時の細胞内情報伝達に関与している可能性が考えられた。 2) BRCA2の中心体制御機構 近年、細胞周期のS期に核内で機能していると考えられてきたBRCA2が、核外、および細胞周期全般にわたり細胞に影響を及ぼす可能性を示唆する報告がされた。そこで、中心体でのBRCA2の新しい機能解明を目的として、中心体でBRCA2と相互作用するタンパク質を検討した。その結果、14-3-3γタンパク質を同定し、HeLa細胞で両内在性タンパク質が結合することを確認した。また、siRNAで14-3-3γタンパク質の発現を抑制させた場合、S期の中心体間の距離が離れ、これに野生型HA-14-3-3γを発現させると中心体間の距離がレスキューされることを明らかにした。BRCA2は中心体で14-3-3γと結合してS期の2つの中心体をつなぎ止める働きがあり、BRCA2は細胞周期での中心体サイクルのチェック機能を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(16 results)