2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013029
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山岡 昇司 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90263160)
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Keywords | HTLV-I / ATL / NF-kappaB / Hodgkin / IKK / NIK |
Research Abstract |
研究代表者は悪性腫瘍における恒常的NF-kappaB活性化をもたらす分子機構として、NFKB2/p100プロセッシングを伴う非定型的NF-kappaB活性化経路が重要であることを、成人T細胞白血病(ATL)由来細胞とHodgkin Reed-Sternberg細胞で示してきた(Nonaka et al.,Oncogene,2005)。さらにその詳細を調べると、ATL由来細胞では原因ウイルス(HTLV-I)発癌タンパク質であるTax発現細胞とは対照的に短時間のarsenite処理ではIKK活性の低下が見られず、逆にタンパク質合成阻害により急速にIKK活性が失われた。しかもATL,細胞ではプロテアソーム阻害剤によりKK活性が著明に上昇した(Miura H.et al.,Exp.Cell Res.,2005)。これらの結果から、ATL細胞ではTaxを発現する細胞とは異なるメカニズムでIKK活性化が起こっており、それは半減期の短い細胞タンパク質により制御されていると考えられた。このメカニズムを解析する目的で、NF-kappaB Inducing Kinase(NIK) NIKの機能を調べ、その活性化によって細胞が悪性形質転換することをつきとめた。その際のIKK活性化機序がATLのそれにきわめて類似していることもわかった。IKKを標的としたATL,治療を目標として、複合体を形成したIKKの活性中心に結合するよう設計されたIKK阻害薬の抗腫瘍効果を、ATL患者末梢血由来細胞株を用いて調べたところ、低濃度で効果的に細胞死を誘導することがわかった。これらの成果を踏まえ、ウイルス性、非ウイルス性悪性腫瘍における恒常的NF-kappaB活性化の全容を明らかにし、がん治療に有効な新たな分子標的を定めることを目標に研究を継続している。
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