2005 Fiscal Year Annual Research Report
c-Myc標的遺伝子ATF3のG1期特異的細胞周期進行と発がんに関する研究
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17013030
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
北嶋 繁孝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30186241)
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Keywords | immediate response gene / ATF3 / 細胞運命 / c-myc標的遺伝子 / 細胞周期 / スプライシング / NF-kB / 転写制御 |
Research Abstract |
転写因子ATF3は各種ストレス刺激に迅速に誘導されるimmediate early geneのひとつであり、細胞死などの運命決定に関わるとされている。しかしながら、再生肝や増殖刺激によっても迅速に誘導されることが知られているがその意義は不明である。我々は、本課題研究で次のことを明らかにした。 1.ATF3は、血清刺激においてがん遺伝子c-mycの下流標的遺伝子である。 2.血清刺激により安定化されたc-Mycは、そのDNA結合体を介してATF3遺伝子プロモーターに結合するのではなく、ATF2を介してATF2/c-Jun結合部位に複合体を作り、あたかもco-activator様に作用する。 3.c-myc欠損細胞は顕著な細胞周期の遅延を呈し、増殖は抑制されている。この細胞にATF3を発現させると、遅延した細胞周期は促進され増殖が回復する。 4.ATF3は、細胞周期制御因子を蛋白レベル、mRNAレベルで活性化する。 5.ATF3は、c-myc欠損細胞周期を主としてG1期選択的に改善する。 6.ATF3のこれらの機能は、そのN-末の転写活性化ドメインが重要である。 さらに、ストレスによって誘導されるATF3のスプライス異種ATF3deltaZip2のTNF誘導細胞死への関与について以下の点を明らかにした。 7.Zip2は、NF-kB,p65と直接結合し、p65とCBP/p300との結合を阻害する。 8.Zip2のp65結合領域には、co-regulator binding motifが存在する。 9.その結果、TNF誘導の細胞死にZip2が関与する。このことから、ATF3はスプライシングによって新たな機能を獲得し、細胞運命を多様に制御することが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)