2005 Fiscal Year Annual Research Report
モデルマウスを用いたがん関連遺伝子の単離と機能同定
Project/Area Number |
17013033
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
木南 凌 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40133615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛城 美徳 新潟大学, 医歯学系, 助手 (60401759)
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Keywords | 胸腺リンパ腫 / アポトーシス / Chk1 / がん抑制遺伝子 |
Research Abstract |
1.Rit1/Bcl11bは放射線誘発胸腺リンパ腫発症に関与する主要ながん抑制遺伝子である。リンパ腫の約70%でLOHを示す。しかし、MNU誘発の胸腺リンパ腫、p53欠損マウスに自然発症する胸腺リンパ腫でも高いLOHを示す。一方、Rit1変異の多くは間違ったV(D)J組み換えによりもたらされるものである。従って、Rit1変異は、照射によるというより、照射影響とは無関係に起こり、発がんに貢献すると考えられる。 2.Rit1の機能解析から、Rit1はChk1機能をコントロールすることが分かった。RNAi法を用いてRit1ノックダウンJurkat細胞株を作製し、Rit1発現低下がもたらす細胞の性質の変化を検討してきた。細胞増殖をMTTアッセイ法で測定すると、Rit1ノックダウン細胞は著明な細胞増殖抑制を示し、これはRit1発現低下がアポトーシスを誘導し、その結果細胞の増殖(生細胞数)が抑制されると考えられた。 ATR-Chk1シグナル伝達系は、DNA傷害やDNA複製ストレスを感知し、その伝達および調節に関わる。そこで、ストレス感知系の蛋白、ATRがChk1をリン酸化するのに必要な蛋白群の変化を調べた。その結果、ATRによるChk1リン酸化を助けるClaspinが一部分解されていることが分かった。すなわち、Rit1消失はClaspin分解を引き起こすことで、Chk1のリン酸化を阻害することが分かった。しかし、Rit1蛋白とClaspin分解の経路については不明である。最近、Rit1転写因子はNuRDコレプレッサーの一員であるとの報告があるが、その下流の遺伝子産物が担う機能については不明であり、現在この点を検討中である。Rit1機能低下はChk1機能低下を引き起こし、その結果遺伝的不安定性をもたらし、最終的には発がんに至らせると推論される。
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Research Products
(5 results)