2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 冬木 Kyoto University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (30184493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋谷 彰 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (40334495)
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Keywords | テロメア / テロメレース / Pot1 / ALT |
Research Abstract |
テロメレースは常にテロメアに作用するわけではなく、短いテロメアを認識して特異的に反応することが知られているが、その分子機構は不明であった。今回、分裂酵母の新規テロメア複合体を精製、同定し、それが既に知られていた2本鎖テロメアDNA結合蛋白質Taz1とその結合蛋白質Rap1、および、1本鎖テロメアDNA結合蛋白質Pot1と、今回新規に同定されたTpz1, Ccq1, Poz1からなる6者複合体であることを示した。特に、Poz1はテロメレース反応抑制的に、Ccq1は促進的に機能し、この両者の使い分けが、テロメレース反応の制御に関わることを示唆した。このことは、高等生物において同様の複合体を同定することで、新たなテロメレース阻害剤を開発する第一歩となる。 一方、テロメレース非依存的なテロメア維持(ALT ; alternative lengthening of telomeres)を行う癌細胞株において、特異なDNA構造をもつテロメアDNAの存在を二次元電気泳動を用いて証明した。従来、テロメレース依存的な癌細胞では、テロメアDNAは最末端が1本鎖3'突出をもつ2本鎖DNA、ALT細胞では、それに加えて、環状2本鎖テロメアDNAが存在することが知られていた。今回、ALTでは、さらに、大部分1本鎖からなる環状C鎖DNAと大部分1本鎖からなる線状G鎖DNAという、これまでに報告のない特異的なテロメアDNAをもつことを示した。このことは、ALTの分子機構を明らかにし、新たな治療法開発につながる可能性のある成果である。
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