2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム安定性を維持するスピンドルチェックポイントの分子機構
Project/Area Number |
17013044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 智裕 Kyoto University, 放射線生物研究センター, 教授 (80212223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土生 敏行 放射線生物研究センター, 助教 (70346071)
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Keywords | スピンドルチェックポイント / Mad2 / p53 / 染色体分配 / p31comet / アポトーシス |
Research Abstract |
細胞分裂にともない染色体数が変化するCIN(chromosomal instability)タイプのゲノム不安定性は、ガン発生・進行と深い関わりがある。染色体分配の監視機構、スピンドルチェックポイントは、その欠損によりCINタイプの不安定性を引き起こす。本研究では、このチェックポイントの機能中枢であるMad2と、Mad2を負に制御するタンパク質p31cometに注目して解析を行った。本年度は特にp31cometを種々の細胞株で欠損させ表現型を検討した。その結果、次の4つのグループに分類されることが判明した。 A:アポトーシスを起こす:BJ、H1080株 B:DNA複製阻害剤の存在下でアポトーシスを起こす:HCT116株 C:有糸分裂中期で停止する:H1299株 D:有糸分裂期進行が弱く遅延する:Hela株 細胞株により表現型が大きく異なることはp31cometがスピンドルチェックポイントの解除のみならず、他の生命現象に関わっていることを示唆する。あるいはp31comet欠損下での有糸分裂が染色体分配になんらかの異常を引き起こし、その結果としてアポトーシスが誘導される可能性もある。 アポトーシスの誘導に深く関わる腫瘍抑制遺伝子、p53との関連を解析した結果、p31cometはp53と物理的相互作用することが判明した。目下、この相互作用の生物学的意義を解明中である。
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