2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013045
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下遠野 邦忠 Chiba Institute of Technology, 附属総合研究所, 教授 (10000259)
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Keywords | アポリポタンパク質E / C型肝炎ウイルス / ウイルス複製 / 脂肪滴 / 肝発がん / 肝組織の繊維化 / リポタンパク質 / リポタンパク質受容体 |
Research Abstract |
肝組織内への脂肪蓄積および、炎症反応の惹起は肝がん発症のリスクと考えられる。一方、HCV感染者の肝組織では、脂肪肝が頻度よく観察される。このHCV感染肝細胞における代謝異常、とくに脂肪代謝異常が炎症反応と相まって肝の繊維化などを引き起こし、肝がんを発症する要因のひとつと考えられている。これまでに、HCV複製により脂肪代謝が活性化される事を見いだした。ウイルス感染による脂肪代謝活性化の意義を解析し、感染細胞内で蓄積した脂肪滴はHCVの複製に重要な働きをする事を見いだした。 また、細胞外に放出されるウイルス粒子には、アポリポタンパク質Eが会合しており、この会合がウイルスの感染性を規定している事を明らかにした。すなわち、粒子に会合しているアポリポタンパク質Eが、次に感染する細胞表面に存在するリポタンパク質受容体を認識する事により、感染が成立すると考えられる。アポリポタンパク質Eの受容体としてLDLR,SR-B1が考えられるが、実際にこれらの受容体をノックダウンさせると感染性が著しく低下した。これらの事から、HCVは肝臓内だけでなく、体内の脂肪輸送系もダイナミックに制御していることが明らかになり、HCVによる脂肪代謝異常が肝発がん発症の要因のひとつであると考えられることが強く示唆された。また、これらの脂肪代謝系の人的な制御がHCVの増殖制御に結びつく可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)